北海道の廃線が全国に影響する?

全国大学生協連院生委員会2021.11.10 Vol. 53

消える地方の鉄道路線

北見工業大学大学院工学研究科情報通信工学プログラム1年のなかじーです。私の趣味は旅行で、主に鉄道を利用しています。現在、地方の鉄道路線がどんどん廃止に追い込まれていることをご存じですか?

地方の鉄道路線が廃止になる理由について挙げられることの一つが利用者の低迷です。地方は人口減少と車社会の普及のため、鉄道の利用が少ない傾向にあります。実際、地方の路線に乗っていると朝や夕方は通学で利用する高校生で混雑するものの、昼間の時間帯は乗客が自分一人だけということもあります。このような区間では、路線バスの維持も難しく、バス路線の廃止も起こっています。その結果、地方はますます不便となり、人口減少、地方の衰退を助長します。

では、地方の鉄道路線の廃止によって影響を受けるのはその地方だけなのでしょうか。答えはノーです。現在、廃止の議論がされている区間にJR北海道函館本線の長万部-函館間があります。この区間は、2030年度の北海道新幹線札幌延伸に伴ってJR北海道から経営が切り離される区間の一部です。通常、このような区間は沿線の地方自治体の第三セクターによって運行が継続されますが、この区間は、利用者が少ないため廃止が検討されています。

しかし、この区間は旅客列車だけでなく、北海道-本州を結ぶ貨物列車が走っており、主に北海道で生産された農産物を輸送しています。中でも馬鈴薯の37%、玉ねぎは67%がこの区間を通り本州、遠くは九州まで運ばれています。仮にこの区間が廃止となった場合、トラックに置き換えることは不可能で、その影響は全国に及ぶこととなります。

北海道の路線図(JR北海道HPより引用したものを加工編集したもの)

このように、地方の鉄道路線の廃線はもはやその地方の問題だけではありません。問題解決のためには、国全体で議論をしていく必要があるのではないでしょうか。地方の公共交通を守るために何ができるか考えてみてください。

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発行元

全国大学生協連合会 全国院生委員会

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