障害は本人と社会の間に

全国大学生協連院生委員会2021.12.01 Vol. 56

障害の正しい理解で優しい世界へ

岐阜大学教育学研究科心理発達支援専攻のびーのです。現在は発達障害児に有効な動機づけについて研究しています。

大学に入ってから障害について様々なことを学び、社会全体で障害に対する正しい理解が必要だと感じています。そこで今回は障害の捉え方を改めて確認してみたいと思います。

(引用:生活機能分類専門委員会参考資料)

まず、障害について正しく捉えるためには「社会モデル」や「ICF(国際生活機能分類)」の考え方を参考にするのが良いと思います。ここではICFについて理解するためにも、前提として知っておきたい「社会モデル」を中心に説明します。障害は障害者本人が持つ問題ではなく、本人と社会の間にある障壁であるという考え方が主流になってきています。この考え方が社会モデルと言われる考え方で、医学モデルと対比して語られることが多いです。よく言われる例だと「目が悪い人も眼鏡をかければ見えるようになる」、「車椅子利用者も段差がなければ通ることができる」などがわかりやすいイメージでしょうか。障害となる環境を変えれば障害者ではなくなるわけです。ある人にとっての困難や不得手さについて、その人自身に問題があると捉えるのではなく、取り巻く環境を見直してみるということは、障害にかかわらず多くの人の生活を豊かにしてくれる考え方ではないでしょうか。

やや余談ですが、障害の「害」の字を漢字で書くかひらがなで書くか迷ったことはありませんか?害となるものが本人にあると捉えるのではなく、周りの環境にある(社会モデル)と捉えると漢字表記が良いとする考え方もあります。みなさんはどう考えますか?

【参考】

第1回社会保障審議会統計分科会 生活機能分類専門委員会参考資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf

「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」の厚生労働省ホームページ掲載について
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html

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発行元

全国大学生協連合会 全国院生委員会

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