科学技術は地球環境を救う!

全国大学生協連院生委員会2021.12.15 Vol. 58

環境にやさしいプラスチック

こんにちは!大阪大学基礎工学研究科で化学工学を専攻しているT.Mです。普段は3Dバイオプリンティングの研究をしているのですが、今回私が話したいテーマは「環境にやさしいプラスチック」についてです。

2020年の7月からプラスチック製レジ袋が有料化したのは、皆さんの記憶に新しいことだと思います。これを機に皆さんも買い物の際にエコバックを持っていったり、レジ袋の使用を控えたりしているのではないでしょうか。この制度の目的は、海洋プラスチックごみ問題や地球温暖化などの環境問題の解決に向けて、プラスチックの総使用量を少しでも減少させようということです。この制度が始まっておよそ1年経ちますが、大手コンビニチェーンでは、レジ袋有料化前は辞退率が30%であったのに対し、有料化後は70%を超えるほどになったそうです。しかし、私たちはレジ袋以外にも、多くのプラスチックに囲まれて生活していますので、使用量を一挙に減らすことは難しいでしょう。

そこで、現在「環境にやさしいプラスチック」の開発が進められているのです。「環境にやさしいプラスチック」には、「バイオマスプラスチック」「生分解性プラスチック」の2種類あります。バイオマスプラスチックは生物由来の資源を原料にしたプラスチック、生分解性プラスチックは、使用後に分解されて自然に還るプラスチックのことです。これらの2種類のプラスチックは、同じように扱われることが多いですが、実際は異なる性質を示します。2つのプラスチックの違いを簡単に紹介していきたいと思います。

バイオマスプラスチックは、トウモロコシやサトウキビなどの植物の非可食部分から作られています。再生可能な資源で作られているので、従来のプラスチックの原料である石油資源のように枯渇しませんし、燃やした際の二酸化炭素の排出量も従来のプラスチックより抑えることができます。一方で、生分解性プラスチックとは、自然界に存在する微生物や酵素の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解され、自然に還るプラスチックです。生分解性プラスチックには現在、土壌内、高温多湿環境下、水環境下の3条件下でそれぞれ分解できるものが開発されています。全ての環境下で分解される万能なプラスチックは開発途中です。

我々の生活にとって、プラスチックは日常生活に必要不可欠な存在です。プラスチックを完全に用いずに生活するのは難しいでしょう。だからこそプラスチックを使わなくてもいい場面では使わず、プラスチックを使わないといけない場面では、ここで紹介した「環境にやさしいプラスチック」を使っていくべきではないでしょうか。現在、色んな場面でこれらのプラスチック使われ始めていますので、少し目を向けてみましょう。

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発行元

全国大学生協連合会 全国院生委員会

vol.58で、社会的課題通信第6弾は終了致します。まだ未定でございますが、第7弾発行をお楽しみに。