考えてみよう「夫婦別姓」

全国大学生協連院生委員会 2023.03.22 Vol.61

選択的夫婦別姓の導入

奈良女子大学大学院人間科学専攻M1のえめです。学部時代から女子大に在籍しており、性別に関係する議論の機会が多くあったことから、「夫婦別姓」について取り扱います。

現在日本でよく議論がなされているのは、いわゆる「選択的夫婦別姓」制度で、夫婦は同じ姓を名乗るという今の制度に加えて、希望する夫婦が結婚後にそれぞれの結婚前の姓を名乗ることも認めるというものです。選択的夫婦別姓制度をめぐる裁判所の判決としては夫婦別姓は認められず、2015年、2021年と二度にわたり最高裁で「夫婦同姓は合憲」という判断がなされています。一方、夫婦別姓に関する世論調査においては選択的夫婦別姓の導入に賛成の声が年々増加しているそうです。

日本の制度について議論する際、海外の事例と比較されることもあります。実際にイギリスでは、結婚後の夫婦の姓を自由に選択、また姓だけでなく名もいつでもネットで改めることができます。フランスでは、出生時に出生証明書に登録された姓名が一生を通じてその人の本姓名として残り、結婚をしても姓名に変化がないそうです。ここでは海外の例を挙げましたが、単に海外で導入がなされているからといって日本でも取り入れようとするのではなく、それぞれの国の歴史や「個人」の在り方についても視野に入れたうえで、検討する必要があります。

私たち学生は卒業後、多くの人が社会人として働き、そして家庭をもつ人も少なくありません。それだけでなく「姓」は社会に生きる私たちにとって、生涯を通して名乗り・呼ばれつづけるものであり、「夫婦別姓」そのものの実現を望む人だけでなく、みんなでこの問題について考える必要があります。

皆さんは選択的夫婦別姓の導入にどのような意見をもっていますか?今一度、自分自身で調べたうえで、考えてみませんか。

〈参考文献・おすすめ図書〉
栗田路子ほか,2021,『夫婦別姓―家族と多様性の各国事情』ちくま新書,筑摩書房

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発行元

全国大学生協連合会 全国院生委員会