全国大学生協連院生委員会 2024.12.18 Vol.70
「フードロス」という言葉はご存じですか?
近年、食品廃棄物の削減が課題になっていることはみなさんご存じだと思います。環境省の調べによると、2023年度の日本のフードロス量は家庭でのロスを含めて約472万トンと推計されています。1) そして、食品廃棄物として捨てられているものは、2014年では、約60%は肥料や畜産の飼料に利用されていますが、約40%は、焼却や埋め立てに使用されています。2)
そんな中、コンクリートに代わる建材として食品廃棄物を使用した建材が注目されています。東京大学の研究で、規格外の野菜や加⼯時に出る端材など、様々な⾷品廃棄物を乾燥させ、粉末状にし、その粉末を⾦型に⼊れて熱圧縮することで建材として利用できないか検討を行っています。白菜を使用し作成したものは、コンクリートの3倍の曲げ強度※をもつことがわかっています。また、できた材料は食べることもでき、乾燥の仕方を変えることで、風味が変わるという結果も得られています。食品廃棄物を建材として利用しようとしていることから、虫がわかないか心配になると思います。しかし、実際に4か月間空気中に曝しても、虫や細菌が発生していないこともわかっています。
実用化に至らないかもしれませんが、持続可能な建材かつ食品廃棄物の新たな利用先として、今後の研究が期待できるのではないかと感じました。
今回は、建材と食品ロスという異なる領域が結び付いた研究を紹介させていただきました。自分の研究分野や専攻に近い研究を調べてみると、自分の学んでいることが社会的課題とどうつながっているかが見えてくるのではないでしょうか。
【参考文献】
1)環境省 我が国の食品ロスの発生量の推計値
2)Machida, K.; Sakai, Y. Development of Novel Construction Material from Food Waste. Preprints 2021, 2021050740.
※曲げ強度:材料に力をかけ、その材料が折れるまでの力
大学生協は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています
全国大学生協連合会 全国院生委員会