全国大学生協連
実践事例交流会実行委員長/
24年度全国学生委員長
加藤 有希
皆さんにとって2023年度はどのような年でしたか。
2023年度は新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられ、2022年度よりさらにキャンパスに人が戻ったように見受けられました。それにともない、思い描く理想の大学生活を過ごし始めているのか、学生生活実態調査では大学生活の充実度が過去最高の数値を記録しました。
大学生協にとって学生のキャンパス滞在時間は大きくは回復しませんでしたが、食堂ではパーテーションが見られなくなっており、食堂の利用が増加しました。
加えてリリースされた大学生協アプリの不具合による食堂の列の混雑が話題になりました。
そのような中でも、アプリの使用説明会を開き、食堂の混雑緩和に取り組むなど、その他にも組合員をど真ん中にした取り組みが見られました。
そういった1年の中で出た教訓的で実践的な事例が集まるこの実践事例交流会、そのテーマは対話と実践です。
2023年度の教訓的で実践的な事例をもとに2024年度に向けて知恵や経験を語り合う、交流し合う、そして2024年度の全国のよりよい大学生活を私たちの手で作っていきましょう。
本会は実践事例報告と全国テーマセッションの、大きく二つに分かれています
東北大学生協からは、総代活動を軸にした組合員活動をご提案いただきました。「組合員・総代に対して、一緒に考えよう 一緒にやろう と声を出して言うこと」を全国へのメッセージとしてもらいました。大学生協として、今回の発表から「総代会に必要な要素は何だったのだろうか」や「総代をはじめとした組合員とどんなことができるのだろうか」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。途中の質疑応答では、「学生委員と総代との会議」について、回数や内容、参加人数などを深掘りされた場面もありました。ぜひ東北大学生協の今回の発表を見直し、今後の総代・組合員活動を具体的に考え、生かしていきましょう!
津田塾大学生協からは、メンタルヘルスケア講演会をご提案いただきました。大学生協として、今回の発表から「どのようなきっかけで『つながり』ができたか」や「学生・職員・教員・保健センターとつながることでどうなったか」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。感想の中には「学生自身が問題意識をもって講演会を希望したきっかけが、もともと築かれていた大学と生協との関係性が上手に掛け合わさりウェルネスセンターにたどり着いたという素晴らしい流れだと感じました」という声もありました。大学生協として組合員のためにどのような支援を行い、どのように実践することができるのかを考えていきましょう!
岐阜大学生協からは、総代会にて組合員調査(アンケート)の結果を生協総代に知らせ、組合員さんの生活から生協への要望を聞き、学生・生協職員でその要望を共有して具体化を考える、という実践をご報告いただきました。「0から1にする(企画を新たに立案して実践する)はなかなか難しいと思いますが、東海ブロックからの提案を受けて行ったところ、いい循環が生まれ始めています。アンケートや調査の結果は、自分自身で仮説を立て、それが結果と合っていそうかどうか、という視点をもってデータを見ると、仮説が裏付けられ、または、新たな発見や気づきがあります。生協の活動に関わる学生メンバーと生協職員とが一緒にその『発見・気づき』を交流することで、改善や新たな活動が生まれます。この繰り返しと試行錯誤で『組合員をド真ん中に』へ」という全国へのメッセージをいただきました。大学生協として、今回の発表から「どのように総代(組合員)の声をきいていたか」や「その後よりよい生活になるために誰とどう話し合ったか」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。岐阜大学生協の発表を見て、組合員との関係づくりに生かしていきましょう!
山口大学生協からは、「健康の森」というタイトルでご提案いただきました。「連携と情報共有がとても重要です。計画的に余裕をもって準備をすることでよりよいものを作ることができます。この企画を通して『話し合う』ということがいかに大事かということを体験しました。企画の実施にかかわらず、周囲の人・組織との対話・交流の機会を大切にしてみてください」という全国へのメッセージをもらいました。今回の発表が「企画に参加したいと思える要因は何だろう?」や「外部との関わりの工夫点は何だろう?」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。山口大学生協の今回の発表を見直し、組合員とのつながり方に生かしていきましょう!
長崎大学生協からは、「ヴィーガン食を通した組合員とのつながり」というタイトルでご提案いただきました。「組合員との顔の見える関係づくりは、職員も組合員もイキイキできるポイントです。総代会・総代ミーティング・組合員との意見交換・部会・学生会議に多くの職員が関われるようにしていきましょう」という全国へのメッセージをもらいました。今回の発表から「組合員の声をどう生かしていたか」や「ヴィーガンに関して大学生協としてできることはどんなことか」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。長崎大学生協の今回の発表を見直し、組合員とのつながり方に生かしていきましょう!
学生生活110番は学生生活で発生する様々なトラブルに対応する全国事業としてスタートしました。学生委員にとっては自転車点検のイメージが強いと思いますが、それ以外でも大学生協にしかできない学生に寄り添ったサービスを行っています。2022年度は2万5632件の入電があり、その中には学生のトラブルなどもありました。近年、多様化したリスクが学生に降り掛かってきています。人間関係が希薄化している中で頼る人がいなかったり、情報があふれる中で何を信じていいかわからないときに、学生生活110番は24時間365日頼れる存在です。少しでも多くの学生を見守るためにも110番を広める取り組みなども行いましょう。
東京学芸大学生協からは、学生と参加する学長懇談会をご提案いただきました。「学長懇談会では、生協の状況をお伝えすることの重要性の他に、学生の活動や意見について、学生の生の声を伝えられると、興味関心を持って聞いてもらうことができる」という全国へのメッセージをもらいました。大学生協として、今回の発表から「学生がどのようなことを大学に報告しているか」や「学生が学長懇談会に参加することでどのようにいいことがあるか」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。学長懇談会は行っている会員生協は多い一方で、関係づくり・提案づくりに苦労する場面も多いと思いますが、大学生協だから伝えられることを考え、東京学芸大学生協の今回の発表を見直し、今後の大学との関係づくりに生かしていきましょう!
立命館生協からは、「通常期の様々な活動」というタイトルでご提案いただきました。
私たちが取り組んできた企画は「先輩がやっていたから」ではない。「組合員の生活を良くしたい」想いがスタートだとの提起があり、「生活改善に共感してくれる人(=一緒に活動できる人)」は、学内にたくさんいるので色々な形で組合員参加をすすめていけるとよい!とのメッセージをもらいました。
今回の発表から「組合員の声はどう生かされているか?」や「組合員の願いを誰と一緒に実現していけるのか?」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。
立命館生協の今回の発表を見直し、組合員との関係づくりという面に生かしていきましょう!
富山大学生協からは、「地域と大学の“つながり”を大切に」というタイトルでご提案いただきました。「大学との関係づくりで、やり続けること・まずは受け止めること」という全国へのメッセージをもらいました。大学が生協に相談してもらえるような環境を作っていくこと、また、生協そのものが大学の存在価値を高める存在になれるような大学生協になれたらいいなと思いました。今回の発表から「地域生協・大学との関係づくりでどんなことを意識したらいいか」や「地域生協・大学との『つながり』について」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。富山大学生協の今回の発表を見直し、組合員との関係づくりに生かしていきましょう!
山口県立大学生協からは、「レッツエンジョイ生協活動」というタイトルでご提案いただきました。「大学が求めていることとの交点を見つけること・相談すること・多くの学生委員を巻き込んで、活動に立ち会うようにしよう」という全国へのメッセージをもらいました。今回の発表から「総会で出た意見がどのように取り組みに生かされているか」や「大学が求めていることと大学生協との関わりについて」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。山口県立大学生協の今回の発表を見直し、生協活動・総会での活動の実践事例に生かしていきましょう!
宮崎大学生協からは、「食堂コンサート」というタイトルでご提案いただきました。「生協を、大学を、組合員を盛り上げるには、学生の皆さんの力が必要です。生協に関わる学生だけでなく他の団体・サークルも巻き込んで大学を!学生生活を!盛り上げていきましょう!大学生協は物心両面から応援しています!」という全国へのメッセージをもらいました。今回の発表から「大学生協はどのような場となることができるのか」や「組合員とのつながり方はどう工夫されているか」を考え直す1つのきっかけになる時間だったと思います。宮崎大学生協の今回の発表を見直し、組合員とのつながり方に生かしていきましょう!
大学生協は2023年6月より、講義のデジタル化やPC必携化等、「学⽣の学び」の実態や変化を、教育サービスを提供する教員からの視点でつかみ、教員組合員の利便性向上などにつなげるために教員調査を行ってきました。授業の進め方などについても、コロナ前後の変化においてコロナ前とのギャップに苦しむ教員の声や、LMSの使用が増えたなどの現状がありました。2024年度は組合員との対話を大切にする年です。理事会や総代会などで教員からも選出を行い、より多くの階層と対話し、組合員のより良い大学生活や学修スタイルを目指していける大学生協にしましょう!
会員生協が2023年の1年間で取り組まれた事例をもとに、各会員生協にて更に深めてみたい、実践してみたいことをもとに、2024年度全国の大学生協の活動方針軸に基づいて期待や問題意識を共有しました。2024年度に頑張りたいと思っているけど不安なこと、職員の皆さんはどのように感じているのか、組合員はどう思っているのだろうか等を協議し、大学生協に関わる者同士で2024年度の大学生協を創造しました。大学生協に関わるみんなで2024年度の大学生協をつくっていきましょう!
大学生協は、民主的な意思決定により運営が行われる組織です。「平和と民主的意思決定」に触れつつ、今回は総会・総代会の運営について中心に議論いただきました。どうすれば総代・組合員が自分たちの生協をつくる意識を持ち、運営に積極的に参加してもらえるか、旺盛に話し合われました。
うまく組合員の参加を広げることができている大学生協の事例も聞きながら、総代をどのように集めるか、ひとことカードを活用しつつ総代の声をどう集めるか、年間を通してどのように総代を巻き込んだ取り組みを行っていくかなど、具体的な取り組みも考える様子がたくさん見られました。専務理事や学生委員など一人ひとりが意識を持ちながら、2024年度の総会・総代会を軸に組合員の積極的な関わりがさらに広がることが期待されます。
このテーマセッションでは大学生協店舗(購買・食堂)が組合員にとって「私たちの店舗だ」と感じるためにはというテーマで職員と学生で話し合いました。
学生の中では今の購買は電気が半分ずつしか点いていないことが多々あり、とても暗い雰囲気だという意見が出ていました。職員さんの考えでは光熱費の高騰で経費がかさんでいるという意見もありました。さまざまな人と現状や願いを話し合うことで知恵や経験が集まります。それによって共感を生み出し、回答や解決策をみんなで作り出すことができます。店舗の創意工夫だけでなく、店舗を取り巻く現状や、わたしたちの願いも含めてみんなで話してみましょう。
このテーマセッションではコロナ禍などもありここ数年で顕著になっているメンタルヘルスの問題について、大学生協の取り組みでどのように支え合うことができるのかを考えました。また、大学と協力して組合員の健康安全のために取り組めることを考えます。今実際に行っている大学生協でも、新学期を迎え入れる活動であったり、たすけあい奨学制度であったりが行われております。しかし、取り組みの中には大学に知られていないことがあります。
大学生協としてさまざまな取り組みを行うことで一人でも多くの組合員がより豊かなキャンパスライフを送れるよう目指していくことが必要と考えられます。
さらにたすけあいの取り組みを拡げるために大学や保険管理センターに伝えましょう!
このテーマセッションでは、これからの学びと成長という方針に対して読書を切り口に問いかけました。学生の読書に対する姿勢や、そこから生協店舗がどう大学生の読書に携われているか、実際の感覚をベースにした協議です。
話を聞いていると、「読書をする学生」というものは多様化し、個人差が大きくなっていると感じられました。ある学生は、授業や関心のある分野について学ぶために書籍を買うと言い、またある学生は小説が好きでいわゆる“
今回、店舗と絡めての提案でしたが、大学生の学びと成長の支援としては、店舗に限らず図書館でも学生が読書などを活用して学んでいく姿勢を支援することが大切だと感じました。
2023年度は2022年から続くロシアによるウクライナ侵攻やガザ戦争、インボイス制度、LGBT法案成立やALPS処理水放出など、さらに自分たちの身近なところに現れる社会的課題が目立ちました。一方現在、大学生の情報収集の手法であるSNSでは自分の発信したものと似た意見が寄せられるエコーチェンバーという現象も発生しています。全国大学生協連では平和な社会を目指すことを根幹にさまざまな取り組みを行っています、いつ、どのような場面で、どのように、社会の問題を「知り・知らせ、考え・話し合い、行動する」ができると良いでしょうか?実際に各会員で話し合いましょう。
全国大学生協連
実践事例交流会実行委員長/
24年度全国学生委員長
加藤 有希
皆さんご参加ありがとうございました。
皆さんが2023年度にさまざまな実践を行ったことが、この実践事例交流会を成り立たせていました。本当に1年間お疲れさまでした。
そして23年度の教訓やその事例を語り合うことで2024年度の展望が見えてきたのではないでしょうか。
実践事例報告の中で、まず声をかけて交流をしてみることであったり、情報共有をたくさんすることであったりが実現や実践につながる第一歩になっているということが提案されていました。特に2024年度は大学生協の価値を大学とともに考えることが大学とのパートナーとして必要になってくると思います。
でもこれは大学生協と大学に限ったことではなく、職員と学生、職員同士、学生委員会同士、総代同士でも実現にあたって共に考え、話し合うことは大切になると思います。
今年度はぜひ皆さんで共有や交流を実践してみてはどうでしょうか。
そして私たちは生活協同組合なので、大学にいる構成員である組合員の福利厚生や生活向上に向けて取り組むことが大切です。
全員が同じ方向を向いて進むことができるように、対話を通して自分たちが目指したいことや相手が目指していることをくみ取り、実現しましょう。
改めて、2024年は組合員との対話を大切にする年です!
組合員と対話し、組合員の輪を拡げていきましょう!
みんなで目指して頑張っていきましょう!
昨年開催しました全国大学生協連 第66回通常総会(UNIV.CO-OP総会特集号435)はこちらからご覧頂けます。