全国大学生協連 大築 匡
「どんな本を読んだらいいですか?」
こんな質問を学生さんから受けることがあります。
基本的には、好きな本を読めばいいと思うのですが、それでは話が終わってしまいますよね。というわけで、僭越ながら私の個人的な意見を少しだけ書いてみます。
まず、小説(物語)は自分の好みによるところが大きいので、「これがよい」とは言えません。友だちが読んでいて面白そうだと思ったものでもいいですし、生協書籍部や街の本屋さんの店頭で目に留まったものでも構いません。表紙のイラストがカッコイイとか、そんな理由でも十分です。読んでみて面白ければ、その作家さんの作品を追いかける楽しみも生まれますね。
大学での勉強のために入門的な本を読んでみたい、あるいは自分の専門ではないけれど少し興味があるから読んでみたい、ということもあると思います。分厚い専門書にはさすがに手が出ないけれど、手軽に読めるものなら挑戦したい、という場合には「新書」コーナーがおすすめです。
「新書」とは、文庫本より少し縦長で、だいたい200~300ページ程度の本のことです。岩波新書、中公新書、講談社現代新書、集英社新書、新潮新書、ちくま新書、平凡社新書など、多くのシリーズがあります。新書コーナーの平台に積んである本は、主に新刊や話題の本です。まずは気になるタイトルがないかチェックしてみてください。そのうえで棚をざっと見て、気になるキーワードが目に留まるものを探してみるのも良いでしょう。新書コーナーを眺めるだけでも、今どんなことが話題になっているのかが分かると思います。
ちなみに、私が最近読んで「いいな」と思った新書は、『論理的思考とは何か』(渡邉雅子、岩波新書)、『現代日本人の法意識』(瀬木比呂志、講談社現代新書)、『知能とは何か』(田口善弘、講談社現代新書)です。特に何か関連があるわけではなく、ただ興味の赴くままに乱読しているだけです。
「新書」という名前ですが、新しい本ばかりというわけではありません。古典的名著と呼ぶべきものも数多くあります。たとえば、私が何度も読み返している新書は『「文明論之概略」を読む』(丸山眞男、岩波新書、上・中・下)です。こうした新書は版を重ねており(奥付を見ると「〇〇版〇〇刷」と書かれています)、何年にもわたって多くの人に読み継がれています。
しっかりしたつくりの新書には、巻末に参考文献リストや「もっと知りたい人のために」などの読書ガイドがついていることもあります。こうした新書は、大学での学びの入り口にぴったりですし、専門外だけれど少し興味があるという人にもおすすめです。
以上、何かの参考になればうれしいです。