「これからを生きる大学生へ、未来を創る人々へ」
〜本を読む人、読まない人、読書に興味がある人、興味がない人〜

全国大学生協連 大築 匡

Vol.7 趣味は読書

「大築さんの趣味は読書だよね」
こんな風に言われたことがある。
その時は、「まあ、そうなんですけどね。他にも趣味はあるんですよ・・・一応。」ともごもごと煮え切らない返事をしてしまった。
なんとなく、「趣味は読書」と答えるのにちょっと恥ずかしい感じがするのはなんなのだろう。読書はあまり特別な趣味ではないからか。「趣味は読書」といってインドア派と思われるのが恥ずかしい、という人もいるかもしれない。
「趣味は読書」というと、あまり会話が広がらない。たとえば「趣味は旅行」というと「どこに行ったの?」とか話が広がると思うが、「趣味は読書」と言った後に「へー、そうなんだ」で終わってしまう気がする。

じゃあどう言えば、「趣味は読書」から話題をさらに広げられたのだろうか。よく考えてみれば、本当に語り合いたいことは読書という行為そのものではなく、本に書いてある中身なのかもしれない。初めて訪れた土地の空気や料理や文化や祭りや人の営みを語るように、そして聞き手もわくわくする感情を共有できるように、新しい本と出合った時の感動やページをめくった時の高揚感を語ることができたら、「趣味は読書」ということの気恥ずかしさが少しは薄れるかもしれない。

それとも、読書好きの人になら安心して「趣味は読書」と言えるだろうか。ちょうど「推し」について語り合うように、自分の好きな本について語り合う場があれば楽しいかもしれない。全国大学生協連が発行している『読書のいずみ』は全国の学生から選ばれた編集委員(通称:いずみ委員)と読者スタッフの参加でつくられている。編集会議では、学生たちが自分の読んだ本について楽しそうに語り合う姿がいつも見られます。こんな交流の場がもっと多くの場所で作られればいいなあと思う。
「趣味は読書」の人がインドア派とも限らない。本に書いてあった場所に行ってみたり、旅先で見たものを本で確かめたり。旅と本は相性がいいのかもしれない。私が会ったいずみ委員の学生も、古代史について熱く語ってくれた。本を読むだけでなく、博物館や美術館、古墳や遺跡を訪ね歩いているという。楽しそうに語る彼女の傍らには、きっといつも本があるだろうと思えた。

「趣味は読書」と言うのは自分にはまだ気恥ずかしい。だけど、「趣味は読書」の人と会ってみたいし話もしてみたい。