卒業生のひとりごと
1. わたしノート 門脇みなみ

 『izumi』読者のみなさまこんにちは。新入生の方ははじめまして。そうでない方は153号ぶりです。このたび連載ページを持たせていただけることとなりました、いずみ卒業生です。どうぞよしなに。
 

『すき好きノート』
(谷川俊太郎・安野光雅/アリス館)
本体1,300円+税

 わたしはノートがすきです。日々の予定はパソコンやスマートフォンで管理しているのですが、それでも紙の手帖やノートは手放すことができません。さらさらとした手触りと、なんともいえない懐かしさを感じさせるにおい。特に書くべきことがなくとも、ついなでなでしたり、くんくんしたりしたくなってしまいます。変態ではありません。
 用途に合わせて何冊もノートを持つという方もいると思いますが、わたしの場合は一冊だけです。理由はたくさんあると管理ができないから。最後まで使い切ることなく放置されたノートたちは、棚の隅でほこりをかぶり、哀しみを漂わせることとなってしまいます。どうしたらそのような寂しい状況にならずに済むかを考えた結果、「一度に使うノートは一冊」に落ち着きました。一冊のノートに、読書記録に珍妙な夢の内容、『izumi』原稿の締め切り日、読みたい本のタイトル、きまぐれ日記、ふと思いついたこと(だいたい後で見返すと何のことかわからない)、今後使いたい小説タイトル(だいたい使われない)……等々、なんでも書き込みます。毎日書くわけでもなく、頻繁に読み返すわけでもなく、手に取りたい気分のときにだけ開かれるノート。乱雑な文字で雑多な内容が記されているそのノートは、混沌具合がわたしの頭の中のようです。ゆえに、自分以外のひとに覗かれるような事態は絶対に避けたいところ。ノート管理は厳重に。

 ノートには、ノート用のカバーをかけて使っています。カバーをつけておくと使い終えたノートや新品のものと間違えることがなくなり、便利なのです。またポケットがついているタイプのノートカバーなら、付箋やメモなどちょっとしたものを挟んでおくことができ実用的でもあります。そしてなにより重要なのが見た目。気に入っているカバーをかけておくと、使うときに楽しい気分になります。わたしが使っているのは市販のものですが、ブックカバーの要領で手作りしても良いかもしれません。ブックカバーとおそろいにしても、きっと素敵です。

 サイズはB5、A4、A5……とノートによって色々。持ち歩きたいなら小さめのA5、たっぷり書き込みたいならB5やA4、といったように好みに合わせて選ぶのが良いかなと思います。ちなみに、わたしはA5サイズのものを愛用しています。
 ノートの中身は、方眼罫タイプのものがすきです。文字も絵もかきやすいような気がします。もっとも好みはひとそれぞれなので、無地のノートが使いやすいと感じる方や、定番の横罫線入りのものが安心するという方もいらっしゃるかと思います。「今回は横罫線のもの、次は無地のもの、その次は方眼罫ノート」と、色々使ってみるのもまた一興です。
 最後にぱらぱらめくるだけでも楽しく、またノートとしても使うことができる一冊をご紹介させていただきたいと思います。『すき好きノート』(谷川俊太郎・安野光雅/アリス館)は、子どもは右から、大人は左から読むように構成されているユニークな一冊。本に書かれた質問に答えながらイラストや文字などを書き込んでゆくことで、自分だけの「すきノート」を作ることができるようになっています。自分のすきなものに思いをはせながらペンや鉛筆を動かす時間には、穏やかなしあわせがあるような気がします。

 講義用のノートなどとは別に、一冊何でも書き込むことができるノートを作ってみると、何気ないことを記録しておくことができ、日々にほんのすこしきれいな色が追加されて見えるようになる気がします。誰かに見せるためではない「わたしノート」を、気まぐれに作ってみませんか。
 
P r o f i l e
門脇みなみ(かどわき・みなみ)
『読書のいずみ』卒業生。今回から連載ページを持たせていただけることになりました。どきどきわくわくです。よろしくお願いいたします。

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