大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 撮影現場を訪ねました!
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合 夜8時)は、いよいよクライマックスを迎えようとしています。さて、「読書のいずみ」183号では、番組の制作統括である藤並英樹さんにお話を伺いました。そのご縁で、今回いずみ委員が撮影現場を見学取材させていただく貴重な機会をいただきました。
それは9月3日のこと。東京渋谷区にあるNHK放送センターを訪れた私たちは、取材班とエキストラ班に分かれ、それぞれ「べらぼう」の世界を間近で体感! 番組がどのように作られているのか、普段は見られない舞台裏まで学ぶことができました。
今回は取材班側からみた撮影現場の様子をお伝えしましょう。
NHKスタジオに入る機会は人生で初めてであり、貴重な機会となった。到着すると、たくさんの方々が往来しており、驚いた。
今回いずみ委員は、エキストラ班と取材班に分かれた。私は取材班目線でこの文章を綴る。
■エキストラの準備
エキストラ班の皆さんは制作スタッフから説明を受けた後、メイク室にて自身でドーランを顔全体と首に塗っていた。
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ドーラン
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いずみ委員も、他のエキストラの方々の見よう見まねでぬりぬり。
仕上げはメイクスタッフにしていただいた。
次にメイクスタッフにかつらをつけてもらう。髪の毛が長い人は自毛を活かして、頭の後ろの部分にかつらをのせ、手前は自身の髪をかつらの上からなじませる。髪の毛が短い場合は、そのままかつらをかぶせていた。
- 髪飾りもそれぞれのイメージに合わせてメイクスタッフがチョイス。
男性の場合、江戸時代には刈り上げという技法は存在しなかったため、刈り上げ部分が見えることは厳禁らしい。
その後、メイクを整え、衣装を身に着ければ準備は完了。
同じ町人役でも、衣装は少しずつ異なっていて、それぞれに個性がある。
布にはあえて穴やほつれが残され、使い古されたような加工が施されていた。
いずみ委員は、この姿で町人として撮影に参加する。
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齊藤
前室にて撮影開始までの一息タイム。どことなく緊張した面持ちのいずみ委員。
■撮影スタジオの中
撮影スタジオは少し肌寒いぐらいの温度設定だった。町並みのセットも工夫が施されていて感動。地面には砂が敷かれ、本物の町並みさながらだった。
今回撮影するのは、勝川春朗(のちの葛飾北斎)と滝沢瑣吉(のちの曲亭馬琴)の喧嘩シーン。まずエキストラの立ち位置を調整し、その後、殺陣師の方が実演しながら動きを確認していく。本格的な演技に引き込まれる。
撮影が始まるため、取材班はスタジオ外に移動し、撮影の様子をモニターで見守る。本物の役者さんの演技は、モニター越しでも迫力を感じた。役者さんたちは、取っ組み合いの喧嘩だけでなく、喧嘩に疲れて呼吸を整えている場面などでも表情が豊かで、大変印象深かった。エキストラは喧嘩を始める役者を取り囲み、「何が始まるのだろう」という雰囲気でざわざわと町人同士で会話をしながら、喧嘩を見守る様子を演じる。扇子や手ぬぐいなどの小道具も使い、リアル感を演出していた。
なお、このシーンは3回にわたって撮影された。カメラの角度も少しずつ変え、上方からのショットもあり、撮り方によって画面の印象が大きく異なっているように感じた。
シーンを撮り終えたあと、最後にエキストラのガヤ収録を行い、撮影は終了した。
※10月19日(日)放映の第40回「尽きせぬは欲の泉」の冒頭に登場。
勝川春朗と滝沢瑣吉の喧嘩シーン(写真提供:NHK)
二人の喧嘩を見守る蔦重たち(写真提供:NHK)
■取材を終えて
エキストラの方々は髪型も衣装も含め、本物の町人のようであった。撮影スタジオも工夫されてできている上、役者さんとエキストラの方々が存在することで、私自身が江戸時代にタイムスリップしているかのようだった。放送で映る時間は限られているけれど、1つのシーンで3回撮影をしたことと沢山の方々がこの撮影に携わっていることで、制作の裏側も知ることができた。
NHK関係者の皆様、今回は貴重な機会をいただきありがとうございました。
蔦屋重三郎の店、耕書堂前にて。左から 庄司春菜、中川倫太郎、山原和葉、齊藤ゆずか、伊瀬知美央
▪️レポート:庄司春菜(東京薬科大学3年)
※過去の作品は、NHKオンデマンドで観ることができます。