読書マラソンWEB版 5月特別号

『生物と無生物のあいだ』著:福岡伸一 出版社:講談社

愛知教育大学 後藤優太

愛知教育大学
後藤優太

生物と無生物のあいだ

『生物と無生物のあいだ』
著:福岡伸一
出版社:講談社

生命とは何か。

貴方はそれについて知らない事を知っているだろうか。生命とは何かという疑問に挑むことで生きている実感を得るように私は思う。だからこそ、人類を何世紀にもわたったて魅力し続けたのだろう。当然だが、現在の私達は恵まれた事に、先哲が溜め込んだ真理のヒントを誰でも好きなだけ摂取できる。かのソクラテスにさえない特権だ。自覚すべきは今が歴史の最前線ということである。

前置きはここまでにするとして、真理の答えを得る為のアプローチはたくさんあるだろう。その中でもこの本は「生命とは何か」について分子生命学という視点から挑む本である。著者の研究室、ポスドクとしての生活はその場所でしか知りえない裏話なども書かれており、読者を飽きさせない。また、生物学に疎い人であっても理解しやすいだろう。著者の巧みな比喩は空しく地に落ちることはない。実験の試行錯誤の様子を描いたり、時代背景を踏まえながら話が進んでいくので、生命の本質が明らかになっていく過程が上手くまとまっている。

生命を考察する上で初めに読む本として、最適な本であると私は勧める。ソクラテスには無かった現代科学の知識の一片をこの本で得る事ができる。各時代の最前線で生命の研究をしていた人々の様子が分かる。この本を読めば直ぐにでも研究室にいって生命の神秘に挑みたくなるだろう。余談だが私の場合、気が付いたら分子生命学科に入ってしまった。高校2年生の時この本を読んで受けた感激は今でも忘れられない。

ところで、貴方は「生命とは何か。」と聞かれた時に答えられますか。

愛知教育大学
後藤優太