読書マラソンWEB版

『図書館の魔女』著:高田大介 出版社:講談社

近畿大学 安村伊代

表紙

『図書館の魔女』著:高田大介 出版社:講談社

その世界では、知識の宝庫である図書館は大きな役目を負っていた。そんな図書館で巡る、「ことば」を操る少女と謎多き青年の物語。厚い歴史のあるこの世界を、私は“ファンタジー”と呼べない。


“第45回メフィスト賞受賞作”
刺激に飢えていた私の目に飛び込んできたその文字。
シックで神秘的な表紙。
タイトル『図書館の魔女』。
「読みたい。」そう思った。

「ことば」とは何を指す語(ことば)なのか、貴方たちは知っているであろうか。
図書館の魔女と恐れられる少女、マツリカは知っている。
生きていく過程で必要不可欠であるものの真の意味に、私は驚愕し、納得した。

マツリカの住む世界には歴史がある。
どういう風に地形が成り立ち、人々が住み着くようになっていったのか、歴史が積み重なっている。
全てが繋がっている。全てが意味を成している。

印欧語比較文法・対照言語学が専門分野である作者。
彼の綴る文が面白くないわけがない。
全4巻の超大作であるにも関わらず、手を休めなかった。
初めてだった。
胸を張って他人に勧めることの出来る本に出会ったのは。

魔法が出てくるわけではない。軽い気持ちで、楽しくなんて読めない。
その世界にどっぷり浸かってしまう。その世界の住人になってしまう。
ファンタジーが好きな人、歴史が好きな人、長編文書が苦手な人。
どんな人であってもワクワクさせるものがある。
この本に触れたらきっと、あなたも私と同じように、マツリカの操る「ことば」の虜になってしまうであろう。

近畿大学 安村伊代