生協職員からのおすすめの本紹介

有川浩 著 『明日の子供たち』幻冬舎

著者:有川浩
出版社:幻冬舎

ISBN
9784344427143

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本の前で戸惑いました。百田尚樹の本にしようか、有川浩の本にしようか、30分くらいは本の前に立ち、迷いました。どちらも私の大好きな作家です。本を取り換えては迷い、迷った結果選んだ本が「明日の子供たち」でした。
本は、作家の名前でも選びますが、はやり帯のコメントが大きくかかわります。
「想いがつらなり 響く時、昨日とは違う明日が待っている!」「諦める前に、踏み出せ。思い込みの壁を打ち砕け!」なんて文字が目に飛び込んで来たら読まなくっちゃとだれでもぐらっとくると思います。
物語は、児童養護施設の舞台です。世間で物議をかもした「明日ママがいない」が思いうかびました。物語は「明日ママがいない」についても触れています。

さて、主人公は、赴任してきた施設でまず子供たちの靴を片付けるシーンから始まります。
子供が好きだから子供にかかわる仕事ができるのか?と常々自分なりにテーマをもっていました。私の子供が保育園に通わせていたころ、子供好きな先生はたくさんいましたが、子供の成長を考えてくれての発言をされる先生はごく少数でした。子供が好きなだけでは子供にかかわる仕事はできないと思っています。そんなシーンがいくつも出てきます。
聞き分けの良い子が「問題のない子供」と受け取って終わっていいのか・・・などなど。
教育や福祉に将来携わろうとする方にぜひおすすめしたいテーマの本です。


福岡県立大学生協 店長
権田文子

また、なぜ本を読むの?の問いに施設の園長先生が「人生は一人に一つずつだけど本を読んだら自分以外の人の人生が疑似体験できるでしょう。」と語る部分があります。今は、映像という便利なものがあり、他人が膨らませた絵をすぐに見ることで通過してしまいがちです。たまには、文字の世界で登場人物の行方を想像してみてはいかがですか。おちゃめな作家は、この本を書いたいきさつをちゃっかり紹介しています。そこはフフフと笑って読んでください。