生協職員からの新刊お奨めの本紹介

『歴史から理論を創造する方法~社会科学と歴史学を統合する~』
保城広至 勁草書房

著者:保城広至
勁草書房

本書は、歴史学と社会科学(政治学・経済学・社会学など)の長所を取り込みながら「理論」を創造するための手法についての本です。裏を返せば、上記のような学問は理論を創造しにくいという意味にも取れます。どういうことでしょうか。

本書によれば、歴史学は「一度限りの事象」を研究する学問です。ですから「物語の記述」はできても、時代・場所を問わず適用できる「普遍的な理論」を創造するのは困難です。

一方、社会科学はその歴史学の研究成果などをその理論の根拠とすることがあります。しかしその際に「自分の理論に都合の良い事例・解釈」だけを根拠として構築された理論は、「正しい理論」とは言えません。ところがそういったことは少なからずあると著者は主張します。皆さんも「日本経済は破滅する」という本と「日本経済は復活する」という本が書店で一緒に並んでいるのを目にしたことがあるのではないでしょうか(そういった本を研究者が執筆していることは稀ですが)。

そもそも物理学などとは違い、これらは「実験によって理論を確認する」といったことは困難な分野です。

さて、ではどのような方法なら理論を創造できるのか。それは本書を読んでいただくとして、ここでは書籍内で紹介される論理や概念についていくつか紹介しましょう。


関西学院大学生活協同組合 書籍・キャリア事業部 上ケ原フォーラム店書籍  満田弘樹 

例えば、文献としての「一次資料」「二次資料」の違い、「パラダイム・シフト」、「予言の自己否定性 / 実現性」や「理論の現象消失性」、「帰納」と「演繹」、「ベイズの定理」や「プロスペクト理論」といった、歴史学や社会科学におけるキーワードが幅広く紹介・解説されています。そして本書において理論を創造するために提案されている手法が「アブダクション」です。

ぜひ本書を「活用して」、大学生活で自分ならではの研究や卒業論文などに挑んでいただけたらと思います。