生協職員からの新刊お奨めの本紹介

『教育という病』 内田良 光文社新書

著者:内田良  光文社新書

今回、本書を選んだのは特別な理由があります。それは、本書発売2日前に学生から入荷の問い合わせがあったからです。「入荷2日前に問い合わせるくらい欲しい・読みたい本とはどんな本だろう?」と思ったことからです。

読んでみると衝撃的な内容でした。今日の社会では、ビックデータや心理学に代表されるように数量データは、社会問題の解決や政治・経済的な政策立案に重要な役割を果たしています。しかし、現代の学校教育を捉えることに関しては、まだまだ数量データが十分に活用されていないというのです。本書で著者は、「善きもの」としての「教育」の陰に隠れている「教育リスク」を、数量データの科学的な根拠に基づいて分析することを提唱しています。今まで学校教育をそのように捉えたことがなかった方は、この発想に衝撃を受けると思います。さらに、子ども・先生に降りかかる「教育リスク」を具体的な事例を用いながら丁寧に分析し、解決策を探っています。

ここで、私の中・高校時代を振り返ってみると、体育祭で男子団体競技になっていた『棒倒し』はその一例だと考えられます。自分の陣地にある高さ3~4メートルの棒を男子生徒20人程度で支え、闘争心の塊になった数名がものすごいスピードで棒の頂点にくくり付けられた旗を奪取する為に攻めます。もちろん、切り傷・擦り傷・打撲は当たり前です。骨折等の重症の出現率も非常に高いと思われます。その場にいる生徒・保護者・教員・地域住民は大変盛り上がり、その華やかさの陰に生徒の怪我のリスクは隠れてしまいます。これは本書でいう「教育リスク」に当てはまります。


埼玉大学生活協同組合 書籍購買部 渡部亮太郎 

最後に、本書は教育学部で学ぶ学生・教員を志す学生に留まらず・今まで学校教育を受けてきた全ての学生にぜひ読んで頂き、科学的根拠に基づいて学校教育を捉え直し、リスクを直視するところから今後の教育の在り方を考えていく良い機会にしてほしいと思います。