私は、大学1年の時に「すべてがFになる」を読んでから、森博嗣の本がすごく好きになりました。「すべてがFになる」はドラマ化、アニメ化もされ注目を集めた作品です。
「すべてがFになる」ももちろんオススメですが、今回は森博嗣さんの新作「彼女は一人で歩くのか?」を紹介したいと思います。
自分の中では森博嗣といったらミステリーという頭がありましたが、この作品は、SFです。舞台は、遠い未来の日本です(200年後くらい)。首都がなぜかサッポロになっています。人間とほとんど差がないウォーカロンという人工細胞で作られた生命体が存在する世界です。チューブと呼ばれる移動装置(真空の管を通るリニアモータカー)があったり、人間・ウォーカロンが致命傷を受けても治ったりするものの、この未来が、すごく自然な未来に感じられてすごく不気味な感覚に襲われます。
そんな人間とウォーカロンを識別する研究を進めていた主人公のハギリは、ある日何者かに命を狙われます。命を狙われる理由もわからないまま、ハギリは、政府の強固なセキュリティーのもとで研究を進めていくことになります。科学技術の発展により、人間も使えなくなった部分を人工細胞により新しいものに変えるため、人間はかなり長寿になっています。ハギリも80歳らしいのですが、この世界では若いそうです。
同志社生協
良心館ブック&ショップ
宇津山 琢磨
人が人足らしめるものとは?という命題にものすごく踏み込んでいきます。想像のつかない未来のフィクションではなく、いつか到達するかもしれない未来だからこそ怖さを感じるし、この命題を考える楽しさもあると思います。ぜひ一度読んでみてください。