生協職員からのおすすめの本紹介

「ガソリン生活」伊坂幸太郎 朝日文庫(朝日新聞出版) 

著者:伊坂幸太郎
朝日文庫(朝日新聞出版) 

ISBN
9784022510624

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私は,大学時代から少しずつ本を読むことを習慣にしてきましたが,今は大学時代とは違い,ゆっくりと本を手に取って読書をする,という機会が取れずにいます。その中でも,手短に読むことができた本を紹介します。部活動やサークルで忙しい学生は,なかなか本を読むということになれていない人も多いのでは,と思います。私は,「本を読んだり活字に慣れたりする習慣は,大学を卒業するまでにもっと身につけておけばよかったな」と改めて思います。まずは気負うことなく,本を手に取ってみることが大切だと思います。

その中でも,伊坂作品は,私のような読書の初心者向けのものが多く,淡々と手短に読み上げることができます。私も大学のころはよく手にした作家のひとりです。「ゴールデンスランバー」・「アヒルと鴨のコインロッカー」など,代表作を挙げればきりがありませんが,16年の3月に文庫版が刊行された,「ガソリン生活」は,車が語り手,という一風変わった斬新な物語。持ち主の家族や周囲が繰り広げる様々な事件や会話の中で車どうしの会話が中心となり,物語が進行していきます。主人公は,マツダのデミオ。私たちが普段気づくことができていない大切な問題--例えば人間が失敗を起こす根幹の原因など――にスポットを当て,「もし車が話せるとしたら」という視点から淡々とコミカルにユーモラスに取り上げられます。最後には物語の中のすべての伏線を回収して,期待を裏切ることなく完結します。人は車やバイクなどの乗り物に他にはない愛情を注ぐ事がありますが,これを読んだら一層愛情が深まりそうです。読みやすく,ストーリー展開もスピーディ,読後には何とも言えぬ充足感を感じることができます。誰にでもきっと面白く読み終えることができる作品ですよ。


佐賀大学生活協同組合
大学会館店 書籍担当
朝田 草太

テレビでも携帯電話でもそうですが,本を読むことでもきっと新しい発見があります。でも本は,読んだ人によって気づくところが違ったり,読み返すと新しい発見に気づかされたりすることもあることが,本を読むことの醍醐味だと思います。みなさん,本読むことを是非習慣にしてみてください!