「大学生にお薦めする本の紹介」と聞いて、とても困りました。今年から書籍部も兼任して店長を務めていますが、読書をする習慣のない私が新書を薦めるなんて。と考えながら浮かんだのがこの本です。
甲南大学の教授であられた田中先生は、穏やかに植物のことを分かりやすくお話しくださることから、テレビやラジオにも出演され、毎年夏休みには自由研究をする小中学生が、田中先生の本を探しに生協の書籍店舗に来ています。
私も研究室を訪問するたびに先生からにこやかな笑顔とともに、植物の強さ、逞しさ、美しさのお話を伺いました。この本に書かれている植物の強さや生き方は凄いことなのですが、私は田中先生の穏やかな微笑みで、楽しそうにお話をしてくださる姿が浮かんでくるので、本を読み進めていくうちに笑みが浮かんできました。
植物学「超」入門は、小、中、高で理科科目の中で勉強をした内容を思い出すことから始まり、懐かしさも感じます。ただ、懐かしいだけではなく、それぞれの植物がなぜこのように生きているのか、変化をしてきたかを写真や図を元に分かりやすく書かれています。学生組合員の皆さまは、多くが18歳から22歳の子供から成人となる一番の成長期です。自分自身について、将来について不安になることも多いかと思います。そういった皆様に、この本を読んでいただき、過去に勉強をしたことを振り返り、そこからもう少し深く植物の「生き方」を知ってほしいと考えています。植物はつらい環境の中でも変わることで成長し、懸命に生きています。成長していく過程には土の力、水の力、光の力、風の力、虫の力など環境によって周りに助けられ、芽を出し、茎をのばし、花を咲かせ、実を残しています。学生組合員の皆さまも自分に合った生き方を、今の環境も含め、探せるヒントになるのではないでしょうか。
甲南大学生協Books & Support 店長
平田 誠二
私には3人の息子がいますが、息子たちが自分自身に、将来に悩んだ時にはこの本を薦めて、親子で話をしようと思います。