生協職員からの新刊お奨めの本紹介

「読んでない本について堂々と語る方法」ピエール・バイヤール ちくま文庫

表紙

著者:ピエール・バイヤール
ちくま文庫

この職業に就いて、本について語らなければならないことは往々にしてあります。お客さんに向けて本の紹介をするとき。POPなどの販促物を作るとき。そして、こうして特定の本についての文章を書くとき。あらゆる場面で、あらゆる本について知っておかなければならない状況というのは、格段に増えたのを実感しています。

楽をしたいと思ってこの本を選んだわけではありません。

この本は「読んでいない」本について“堂々と"語る方法が書かれているわけですが、そもそも「読んでいない」という状況は、ある意味の後ろめたさや劣等感などを感じたり、他人にもネガティヴな印象を与えるのが当たり前のことだと思っていました。だからこそ、本当に「読んでいない」本について語ることができるのか?と疑問の思いからこの本を手に取りました。しかし、冒頭の部分に「どれほど熱心な読書家であっても、存在するすべての書物のほんの一部しか読むことができない」とあるように、「読んでいない」という状態が誰しもの基本だというのが前提にあるようです。そして、「読んでいない」という状況にも、いくつか種類があることに気づかされます。もっと言ってしまえば、「読んだ」「読んでない」の境界はすごく難しいとは思いませんか?つまり、心構えとして「読んでいない」という状況に対して、そこまで悲観的に思うことはないみたいです。

本の情報は何も本文からしか得られないわけではなく、タイトル、著者、棚の並びなど、いろいろなところから読み取れます。そういった情報から自分なりの考えを創造していくことができれば、もしかしたら「読んでいない」方がその本について熱く語れるのかもしれないとさえ思ってしまいました。

とはいえ、一書店員としては、なるべく多くの人が本を読んでくれることを期待しています。


北海道大学生協 書籍部 Clark店
太田 乙生

しかし、この本を読むことによって、臆せず本について語らう人が増えるということはそれはそれで嬉しいような気もしますね。
大人になり、本から得られる情報の多さは、身に染みて感じるようになりました。多くの人が、多くの本に触れることを心から願っております。