どこかで自分を変えたいと思っている方にはオススメの1冊。
私は自己啓発書に対して、自分を否定し続けねばならない苦痛と、読み終わった後でも何も変えられない自分が虚しくなるので後ろ向きでした。
この本は、そんなネガティブな発想も「あきらめる」というワードを使って心を楽にすることができます。著者は、真言宗の住職を務めながら執筆活動をし、著書も多数発刊されている方で、仏教的アプローチから「あきらめる」とは何かということを堅苦しくなく、身近で具体的な事例をあげて説いていますので、さらりと引っかかりなく読み終えることができます。「諦める」はとても後ろ向きの言葉に捉えられがちですが、仏教の言葉では、しっかり本質を明らかにする「明らめる」という意味が含まれた前向きな言葉と書かれています。本来の意味と違った解釈がされている言葉が意外とあるように「諦める」も近世になって変化して来た言葉の一つだそうです。「我慢」という言葉も耐え忍ぶという、私の中では美徳なイメージですが、仏教の言葉ではそうではないことが紹介されています。現在、これらの言葉を本来あった意味で使うようにはならないでしょうから、何の得もないようですが、言葉の本来の意味を知ることにより、ものの考え方に深みが増していくのではないかと思います。
難題に直面したとき、自分の拘りに縛られ、前に進めなくなります。本質は何かしっかり捉えることにより、断念することは後ろ向きでは無く次の一歩を踏み出すきっかけとなります。
桜美林学園生協
専務理事
三宅 忍
苦しくてどうしようもない悩みがある時、人に言えず、負の発想しかできなくなります。「しようがない」とありのままの自分を認めること、心を楽にすることで最悪を回避することができます。「あきらめる」は、ネガティブではないのです。この本に書かれている内容全てに共感することはないと思います。琴線に触れた1頁なり1言でも日常生活の中で意識することによってさらに前向きになれるはずです。学生の皆さんは、勉学・友人関係・就職など多岐にわたり生活の中で悩むことがあるでしょう。そんな中で心の重荷を軽くする術を身につけて頂くのに参考になる1冊だと思います。最後にこの本を購入され「なんのためにもならなかった」と思われましたら、その方は上手に明らめることができる人だと思われます。購入したことについては、潔く諦めてください。