今回この寄稿依頼をいただいた時、何にしようかとても悩みました。考えた末、自分を偽ってまでさも らしい本について書くことはできないという結論に達し、「死刑執行人サンソン」(集英社新書)という本(それに付随するコミックもついでに)をご紹介いたします。
タイトルがタイトルだけに大丈夫だろうかと思いましたが、それでもお薦めしたい1冊なのです。
私がなぜこの本を読むことになったのか、きっかけは1冊のコミックでした。漫画家坂本眞一先生の作品「イノサン」です。フランス革命期のパリの死刑執行人でありながら、熱心な死刑廃止論者であったシャルル=アンリ・サンソンと、のちに彼の手によって処刑されることになるルイ16世とその妻、マリー・アントワネットらが織りなす、各人の苦悩と運命に翻弄される人々のさまを、美しい画とともに読み進めることができます。
主人公シャルル=アンリ・サンソンが実在の人物だと知って、サンソンについて書かれた本とコミックと読み比べてみようという気持ちから、この1冊を購入しました。読んでみると、「イノサン」はサンソンの回想録や史実にほぼ忠実で、先にコミックを読んだからこその楽しさが「死刑執行人サンソン」にはありました。
秋田大学生協 手形店 書籍担当 小石奈保子
子どものころから本が好きで、保育園の時も休み時間は必ず絵本を読んで過ごしました。小学校では、図書室で何冊も本を借りました。本から得た知識や漢字、読むことで培った思考力は、私の国語の成績にいつも反映しました。読書感想文も全く苦ではなかったのに、今この原稿の文章をひねり出すのには四苦八苦しています・・・。
読書をするきっかけは、何でもいいと思うのです。映画でもドラマでも、私のようにコミックでも。そこから波及して興味の枝があちこちに伸び、興味を持った事柄についての本を読み、知識を得る。その知識が何かに生かされても生かされなくても、自分にとって有意義な読書の時間であればそれでいいと、私は思います。
書いているうちにまた、読み返したくなってきました。大学生の皆さんにも、何度も読み返したくなる1冊にぜひ出会っていただきたいです。