生協職員からの新刊お奨めの本紹介

『バッタを倒しにアフリカへ』光文社 前野ウルド浩太郎

表紙

『バッタを倒しにアフリカへ』光文社 前野ウルド浩太郎

「バッタ?子供の頃ならともかく興味ないなあ。」大人になってしまったそんな貴方にこそ、この本をぜひ読んでいただきたい。これは「バッタ」の話ではない。「幼い頃ファーブルに憧れ、夢とバッタを追いかけた1人の男」の「就職活動記」であり「日々を笑いとともに前向きに生きるノンフィクション」だからである。

この本の概要をざっくりと説明したい。筆者は「食べられたいほどバッタが大好き」な前野ウルド浩太郎氏。バッタ博士として就職するため、バッタ被害が猛威を振るうアフリカへ飛び立ち、想像を超える異文化と灼熱の砂漠の中で愛するバッタの生態を研究していく。尽きる研究資金。現地人に騙されたと思ったらまた騙される。我が身と考えるととてもではないが耐えられないあまりにハードな日常だ。しかし筆者は底抜けのやってやろう精神でしたたかに前進し、読者は1ページごとに笑いながらその姿に引き込まれてしまう。目の前の困難をどう感じるかは自分次第。それはわかっていてもできることではないが、この本はそれを直接心に伝えてくれる。

書籍担当になり気づいたことは、新書に手を伸ばす学生が少ないということだ。もちろん、文庫小説がお値段的に優しいというのが理由の1つにあると思う。けれどもうひとつ個人的に思い当たることがある。「新書は難しそう。悩める社会人向け。」そう考えていたのが、三年前に大学生だった私なのだ。
大学生になって初めて漠然と広がる人生をどう生きるのか悩む人は多いと思う。私は就職活動の時に、22歳の1人の人間の経験はあまりに少なく狭いものだと思い知ることになった。新書には他人の人生経験が多量に含まれている本が非常に多い。なにか選択するときに、このような読書体験が自分の経験を補ってくれるのだと今なら思える。

人生と真剣に向き合ってみたい、一歩踏み出してみたい大学生の新書デビューに今力強くオススメしたい一冊。


東京農業大学生活協同組合
購買書籍プレイガイド 書籍担当 勝原深智