この数年、大学関係者に向けた話の中では「2018年問題」という単語が当然のように飛び交っている。2018年に日本国内の18歳人口がピークを迎え、減少の一途をたどることを指した言葉だ。大学にとって受験・入学者確保は死活問題である。
この2018年問題に限らず、20○○年問題という単語は意外にたくさん存在する。その多くは社会現象を指した言葉で、それだけ社会には劇的な変化が起こっており、また今後予測もされている。
本書はその名の通り、出版された2017年からおよそ100年後の2115年に至るまでに、高い確率で起こりうるであろう「20○○年問題」について列挙されている。現在、テレビやWEBなど各種メディアで「日本の将来は暗い」など様々な主張がされているが、どう足掻いても避けて通れないのは「少子高齢化」と「人口減少」だろう。年金問題やAIによる労働力問題などは話題に上がりやすいが、もっと根本的な社会システムの変化が必要なことがよく分かる。
これから社会に出て長い人生を過ごす大学生の皆さんには、ぜひ本書をキッカケに、今の大学での学びや経験をどのように自身の将来に、また社会のどの分野に活かしていくのか、を考えてほしい。理工系、人文社会系、など、それぞれ受け止め方は変わってくるのではないだろうか。
また本書には数多くの統計データが示されている。データというのは分析や表示の仕方によって全く違う読み取り方ができる場合もあり、本書もそのテーマから、あくまでドライに危機感を煽る切り口が目立つ。大学生の間に(社会人になっても)、様々なデータや書籍、多くの人の考えに触れることで、自分なりの見方・考え方を持つことのできる人になってほしいという思いも込めて、この一冊をおすすめする。
ちなみに「2017年発売やから全然新刊やないやん!」と思われそうだが、ちょうどこの5月に続編の「未来の年表2」が発売されたところ。書店の新書コーナーをチェックしたらきっと並んでおいてあることと思うので、併せてチェックしてみて欲しい。
京都工芸繊維大学生協
常務理事 藤井 博史