生協職員からの新刊お奨めの本紹介

『一行怪談』PHP文芸文庫 吉田悠軌著

表紙

一行怪談
PHP文芸文庫 吉田悠軌著

小さいころから怖い話が大好きでしたが、そのくせとても怖がりでした。昼に観た怖いテレビ番組は、眠る前に必ず頭の中に鮮明によみがえってきて、そしてこれも必ずと言っていいほどトイレに行きたくなるのです。祖父母も両親も1階で眠っており、居間には誰もいません。2階に自分の部屋がある私は、おなじく2階に隣り合って部屋のある姉を大声で起こし、トイレについてきてもらうのですが、今考えてみると大層迷惑なことをしたと反省しています。寝ているところに隣の部屋から大声で叫ばれるなんて、それこそ怖い・・・。
ゾンビやポルターガイストなど洋画のホラーは怖くないけれど、邦画のホラーやテレビの心霊特番はものすごく怖いっていうことはありませんか?日本人なのでゾンビとかあまり身近に起こりそうもないと感じるせいなのか。
押し入れや天袋、障子、団地などには日本独特の怖さが漂います。特に天袋。そこが少し開いているだけで、ほら怖い・・・。

「一行怪談」は1ページに1つ、一文の物語で構成される怪談特集です。本当に短い文章ですが、何か妙に怖いのです。気味が悪いのです。湿り気を感じるのです。
『今すぐこの家から出なさい、と電話の向こうから叫ぶ母の声を聞きながら、すぐ横でテレビに笑う母を見つめている』
怖いですね・・・。

すぐ横にいる母は一体誰なのか。それとも電話の向こうの母が、母ではない誰かなのでしょうか。
なぜこの本をお薦めするのか。それは読書が苦手な人にもとても読みやすい短さだから。それに尽きます。活字より空白が多いので圧迫感もありません。そしてこれら一文から情景を思い浮かべていただいて、イマジネーションを活性化してください。
この本を購入してから1年以上経つのですが、ふと思い出しては読もうとする時間が夜なので、何だかやっぱり怖くて読めず、日中のカフェプロントで読み返しながらこの原稿を書いています。
今日の夜が怖い・・・。


秋田大学生協 手形店
宮城 由季