「まことに小さな国が、衰退期をむかえようとしている。」この一文で書き出される本書は、戦後から著しい経済発展をした後、バブル期を経験して、いよいよ下り坂に差しかかった我が国、そして日本の各地域や人々が、「どのようにして生き生きとした地域を作っていくのか。」「今の時代を生き抜いていける人材を生み出していくのか。」、いくつかの実例を紹介しながら、ゆっくりと着地する方法について提案している。
著者は、四国学院大学の客員教授であり、劇作家、演出家である平田オリザ氏。
この本を読み進めると、下り坂に差しかかっている日本ではあるが、ただ衰退を待つのではなく工夫次第でいくらでも豊かな社会の実現は可能だという気にさせてくれる。
しかし、「地域活性」も「教育改革」も、十把一絡げや他のマネではなく、一つ一つの地域や学校(大学)に合った方策が必要であり、そこにいる人たちの「熱意」なくしては達成できないものなのだ。
「生きる知恵」を獲得する教育を実践するために、カリキュラムの変更や入試制度の改革に取り組んできた四国学院大学をはじめとするいくつかの学校。地の利を活かし、既存の施設を有効利用して、海外からも注目されるようになった地方の街々。
これからの時代に対応できる学生を育てることに興味がある方々へ。文科省の三位一体改革に対応したいくつかの先進的な事例を知ることができるでしょう。
地域活性化に興味のある方々へ。「〇〇市の知名度を上げたい。交通網の利便性を上げたい。」公務員志望の若者たちがよく口にすることですが、それでは地域活性もできないし、あなたたちの熱意も伝わりません。自分の愛する地元を「熱意」と「創意」を持って、唯一無二の存在にしてください。
四国学院生活協同組合
専務理事 吉田 秀文