明るい夜に出かけて―
このタイトルを見て最初に思ったことは、「深夜徘徊物語…?」。手に取って読み進めると、ある意味当たりつつも大幅に想像を超える作品だった。引き込まれ、一晩で読み終えてしまった。
この物語は、半引きこもりである一人の少年にまつわるストーリーだ。一見よくありそうな展開だが、なぜみなさんへおススメするのか。その理由は2つある。主人公が「大学生」という親近感、さらにメインテーマが「SNS」であるところだ。
様々なSNSが飛び交う今、それを使うのはもちろん、複数のアカウントをもって使いこなす人も多いのではないだろうか。そこには日頃の大学生活では知りえない関係が広がっている。日々使っていく中で、楽しい時もある一方、他の人の投稿からいろいろと考えたり、時にはその感情がマイナスな方向へ走ったり。SNS上と現実の自分の間で少しギャップがあるという人もいるだろう。主人公もいわゆる「趣味アカ」を持っていて、日常生活では表に出さない一面がある。そこが充実している分、いわゆる「リア充」はもとめていなかった。しかし後半「趣味アカ」が少しずつ明るみに出だし、副作用で半引きこもりにも影響が出て、SNSとリアルが緩くリンクしていった。
「携帯ばかり見ていないで、友達と遊びなさい!」とは言わない。繋がりはどんな形であれ大事だ。大学生活は、授業、バイト、サークル、遊び、SNSなどたくさんの世界に触れている。どこかに浸かりすぎて疲れたとき、ふっと別の世界に出かけたらまた明日から頑張ろうと思えて来るのではないだろうか。いろいろな世界を行き来して、たくさんの刺激に触れる大学生活を過ごしてほしい。
北九州市立大学生協
北方ショップ
山口詩織