目を引くタイトルだなって思って手にとりました。“出会い系サイト”と“本をすすめる”の響きが絶妙に噛み合っていない。しかも話題騒然のベストセラーという帯。一体この本はなんなのでしょうか。読んでみてタイトルを見た時のイメージと実際読んだ感想が全く違っていて面白いなと感じたので、ここで紹介する事にします。
夫婦関係も仕事もうまくいっていない。夢中になれる充実したプライベートも無い。自分の人生に何もないと感じた筆者の花田さんが、今いる場所から抜け出すために選んだ方法が“出会い系サイトで会った人に本をすすめること”でした。
「私の体験談をおもしろがって聞いてくれる方もいれば、『危険だ』と苦言を呈する方も勿論います。物騒なニュースが報じられることもありますが、出会い系サイトで事件に巻きこまれる確率と路上で交通事故に遭う確率はきっと同じ位ではないでしょうか。ツイッターのオフ会でも知らない人と会えるけど、もっと荒っぽい手段でなければ、私の“傷"は癒えないという直感があったのです。」
読む前にイメージしていたのは「出会い系サイトにいるヤバい男図鑑」のような内容です。ちょっとゲスい内容の本も売れる世の中だし、所謂暴露本のようなものなのではないかと勝手に予想していましたが違っていました。
これは「1万冊以上の本の中からぴったりの本を薦める」という武器を手に、「知らない人30分だけ話す出会い系サイト」という未知の世界に出かける旅の話です。変な人に会うこともあれば、素敵な人に会うこともある。そういう経験を積んでレベルアップしていく。色々な人に出会い、広がっていく筆者の世界を見て、読者である自分の世界も広がっていくように感じました。
推薦コメントで「この本は一種の自己啓発になる実用書だ」というものがありましたが、本当にその通りだと思います。
タイトルで目を引くのと同時に、タイトルで敬遠されてしまいそうな本だとも思います。私と同じように怪しみながらでも、一度手に取ってみて読んでみて下さい。
広島大学生協 店長
岸本 岬