新型コロナウイルス感染症の拡大は、ワクチン接種が進められつつありますが、1年以上経過した現在も世界的に続いています。いつ終息するのか見通せない状況です。
他にも人口減少、格差問題、民主主義を脅かす動き、気候変動など、現代は様々な問題や課題を抱えており、私たちの生活はこの先どうなるのか、不安が募ります。特にコロナによって様々な問題がより顕在化、深刻化してきたようにも見えます。
「私たちの未来はどうなるの?」「これからどう生きたらいいの?」と思っている学生の方もいるのではと思います。私も日々そんなことを思っています。
今回お薦めする「つながり過ぎた世界の先に」(マルクス・ガブリエル著)はそうした不安に向き合うきっかけになると思います。著者がインタビュー形式で現在をどう見るのか、今後のビジョンなどについて、わかりやすくコメントされています。
著者のマルクス・ガブリエル氏は「新しい実存論」を提唱する世界で注目される哲学者の一人であり、1980年生まれのとても若い哲学者です。
本書では「人とウイルスのつながり」「国と国とのつながり」「他者とのつながり」「新たな経済活動のつながり」といった私たち人間の「つながり」に注目して様々な考えが展開されています。コロナのこと、アメリカと中国の関係、EU諸国間での課題、日本の課題、SNSの本質的な問題、資本主義の今後など、日ごろのニュースで聞いたことのあるようなテーマを掘り下げていき、これからのビジョンを語り、それらを踏まえて私たち人間個人のあり方について考えを述べられています。私たちの社会や将来への不安、人生への不安にいろいろな切り口から、ヒントを与えてくれていると思います。これから社会の中心を担う学生のみなさんには視野を広めてもらう意味で是非読んでもらえたらと思います。
金沢大学生活協同組合
専務理事 坂口 辰彦