生協職員からのおすすめの本紹介

『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く』北村 紗衣著 ちくま新書

表紙
『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く』
北村 紗衣著 ちくま新書

 

皆さんには読書や観劇、映画鑑賞といった作品を鑑賞するような機会はありますか。

“鑑賞する作品”というと美術館に展示されている絵画や、劇場で行われている歌劇のような高尚なものをイメージされるかもしれません。
しかし、お笑い芸人の披露するコントや、著名なアーティストやアイドルによるライブ、CMや駅などの町中にある広告といった日常的なものまでも「作品」であると言えます。

この書籍は、そんな日常生活にあふれる作品に対して「批評する」方法を身に着けて、実際に行ってみようという批評の入門書です。

批評とはそもそも何か?というところから始まって、批評という行為を精読、分析、書くという3つのステップに分け、各ステップについて詳細に説明していくという構成になっています。批評についての解説の後に著者とゲストが実際にいくつかの作品を批評し、お互いの批評内容についてディスカッションする実践編も付属しています。

批評において、作品としっかり向き合うというのはもちろんのことであり、同時に自分自身を深く知るということにもつながっていくと私は思います。

自分が心を動かされた作品の批評に対するアプローチの1つとしてあるのは、「なぜ自分はこの作品を魅力的に感じたのだろう」「どの要素を面白いと感じたのだろう」という疑問です。

その疑問を起点として、作品に深く潜っていき、作品に対する認識や理解を深めていくということは、自分の感情や思考に踏み込んでいくということでもあると思います。

また、批評には1つの切り口が必要となります。その切り口に何を選択するかというのは読み手である私たちの自由であり、それはすなわち自分がどのような視点から対象の作品を分析したいかという自身の志向を理解するということです。

批評が社会と切り離せないのは大前提として、作品の面白さに踏み込むということは、それを鑑賞している私という自己への理解にもつながっていきます。

皆さんもこの本を読んで批評の方法を学び、面白いや楽しいといった感想にもう一歩踏み込んで、自分の好きな作品と、そして自分についてより深く知ってみてはいかがでしょうか。

北海道大学生協 書籍部Clark店 三浦 紗也香
北海道大学生協
書籍部 Clark店
三浦 紗也香