2024.8.1 更新
膨大な量の情報を学習し文章や絵を作り出す生成AIや、人間の運転手に代わる車の自動運転技術など、人工知能に関する様々なテクノロジーは日々目覚ましい進化を続けています。今後その進化はますます進み、今から約20年後の2045年には、人工知能の性質が人類の知能を超える技術的特異点(シンギュラリティ)が到来すると言われています。そこで迎える未来に対し、なんとなく「不安」を抱いている人に読んでみてほしい一冊です。
自動車・感情認識ヒューマノイドロボット・家族型ロボットの開発を通じ、「人類にとっての幸せとはなにか」「愛とはなにか」といった哲学的な問いを深く考えてきた著者の考える「人類とテクノロジーが共存する未来」とはどのようなものか、そしてどうすればたどり着けるのか、やわらかな言葉と<メーヴェ>や<ガンダム>、<ドラえもん>といった具体的なキーワードを用いて解説されています。主な題材となるのは著者が生み出した世界初の家族型ロボットですが、その開発の過程は「これからの人類とテクノロジーの関係」を考える上でも重要な問いに満ちたものでした。既に人類とテクノロジーは切り離せないほどの関係になっていると思いますが、その関係をより良いものにしていくには、「温かいテクノロジー」という考え方は不可欠ではないかと思います。
あまりにも前向きすぎて「ただの理想論」のように感じる内容もありますが、それでも最終章を読んだ後には、「ひょっとしたらいい未来がやってくるのではないか」という希望を持たずにはいられません。
東京外国語大学生協
購買書籍部 ハッチポッチ
渡邉知恵