先生のご研究されていることをお教えください。
調理学を専門としています。食品は調理中に味の成分や食感などが様々に変化します。どのような変化が起こっているのかを明らかにし、嗜好性の高い調理品を作るためにはどうしたらよいかを追究しています。現在は特にもち性大麦の調理性に注目しています。
その学部、学科でしかできない学びをお教えください。
食にまつわる様々なことを対象としているのが食環境科学部です。栽培や調理加工、貯蔵、衛生管理、成分分析、流通、マーケティング、フードコーディネート、食文化、食育など、広く食について学べるのが特徴です。
どのようなことに興味がある学生に向いているかお教えください。
食に関心があり、将来食の分野で活躍したいと考えている学生に向いています。
今から大学選びをする高校生にメッセージをお願いいたします。
大学選びは自分自身の興味があることは何であるかを考える機会でもあります。「好き」や「もっと知ってみたい」という気持ちをスタートに、キャンパス見学をしてみたり、情報収集を行なってこれからの進路選択をしてみてはいかがでしょうか。
先生のご研究されていることをお教えください。
刑事裁判は、罪を問われる「被告人」とその罪を問う(被告人が有罪であることを証明する)「検察官」が対決するかたちでおこなわれます。この被告人と検察官の間には、さまざまな「アンバランス」が存在します。私が問題だと考えているのは、この両者の間の「情報量のアンバランス」です。現在、事件に関する証拠は、検察官はすべて持っているのに対し、被告人はそのすべてを見ることができない状況にあります。これを「証拠開示問題」といいます。
なぜ被告人は、自分の事件に関する証拠をすべて見ることができないのか。その理由は適切なのか。諸外国ではどのような制度になっていて、その理由はどのようなものなのか。日本の制度は今後どうあるべきか。このようなことを研究しています。
その学部、学科でしかできない学びをお教えください。
私の専門は、犯罪と刑罰をテーマとする刑事法なので、これに限定してお話しします。日本も含め世界中の国では、何を犯罪とするか、その犯罪にどのような刑罰を科すか、刑務所制度をどうするかなど、共通点もあれば、違う点も多くあります。これは文化の違いもありますが、それぞれの国で生じる犯罪にどのように対応し、どう防ぐかの考えの違いもあります。日本では、「犯罪を防ぐために何をすればいいか?」というと「厳しく罰する!」という答えがすぐ出そうです。しかし、いろんな研究によれば、物事はそう単純ではありません。軽い刑罰、さらには刑罰以外の方法が犯罪をもっと予防することもあります。また、犯罪に至った原因もよくわからないのに、とにかく罰するというのが良いことなのかという疑問も出そうです。このように犯罪の原因や刑罰という制度、刑罰以外の犯罪予防の方法などを扱うのが、「刑事政策」というテーマです。龍谷大学法学部は、全国的にも、この刑事政策に力を入れた学部といえます。犯した犯罪という「過去」を振り返るだけでなく、罪を犯した人はどうなるのか、社会は犯罪や刑罰とどう向き合うべきかという未来志向の考えも踏まえて、刑事法を学べるのはここだけといえます。
どのようなことに興味がある学生に向いているかお教えください。
次の「今から大学選びをする高校生にメッセージ」を見てほしいと思います。これから、社会は大きく変わっていくし、その社会を支える法律の在り方も大きく変わると思います。ただただ、「今はこうだから」とか「法律で悪いとなっているから悪い」というだけでなく、「これからどうすべきか」、「今の法律や制度は正しいのか、これからどうすべきか」と、無批判に現状に流されるのではなく、今後を「創る」意欲を持った学生には、龍谷大学法学部の学び、特に刑事法の学びはぴったりくると思います。
今から大学選びをする高校生にメッセージをお願いいたします。
AIなど、これまでになかったテクノロジーが急速に発達する社会において、改めて「人には何ができるか、何をすべきか」が問われているように思います。多くの知識や情報は、インターネットですぐ簡単に入手ができますし、いろんなことをAIが答えてくれて、さらには作ってくれます。もう「人はいらない。普通のことは全部テクノロジーがやってくれる。必要なのは一部の人のみだ。」こういう時代が来るかもしれません。
しかし、AIが出した答えは、あくまで社会の情報や知識を集めたものにすぎません。これを1つのアイデア、オリジナル、「知恵」にするためには、絶対に人の手が必要です。そして、このことは情報を持っているだけでなく、情報を加工し知恵にする力が、これからは必要であることを示しています。「答え」を覚える、「正解」を欲しがる姿勢は、これからは無意味です。全部テクノロジーがやってくれるからです。「答え」を導き出す力、「正解」をこれから創る力が必要となります。
あとは、どの専門テーマに沿って、この力を養うかです。その答えは皆さんの中にあります。少しでも関心がありそうだ、少しでもそのテーマの未来に興味がある。その問いかけを続けて大学、そして学部を選んでみてください。
先生のご研究されていることをお教えください。
江戸時代の和歌文学を研究しています。「えー、江戸時代に和歌を詠む人なんていたの?俳句とか歌舞伎とかが流行ってたんでしょ?」と思っているそこのあなた!江戸時代はむしろ、最も多くの和歌が生み出された時代なのです。『万葉集』『古今和歌集』『伊勢物語』『源氏物語』『新古今和歌集』『百人一首』などなど、みなさんが「古典」として習う文芸作品の多くは、江戸時代の人達にとってもやはり「古典」でした。そういう古典を学んで、江戸時代の人達は言葉を学び、思いを一首に託すすべを身につけます。うれしさ、悲しさ、怒り、よろこび…色々な身分の人達の、様々な思いに耳を傾けて、人間とは何か?文学とは何か?を、地道に解き明かしています。
たとえば、和歌初心者が稽古の時に師匠から和歌を手直ししてもらった資料とか、先生が『百人一首』の和歌の内容を解説して生徒がそれを書き込んだ授業ノートとか、人気歌人の悪口(妬み?)をライバルが書き連ねた本など、江戸時代の資料は実に多彩です。それらを読み解いて、現代とは違う文学の在り方や、人と文学との付き合い方の歴史を研究しています。
その学部、学科でしかできない学びをお教えください。
国文学科は、とにかく心ゆくまで、ディープに文学と付き合えるところです。たとえば私の授業では、江戸時代に出版された本や筆で書かれた資料を実際に触ってみたり、ぐにゃぐにゃに書かれたくずし字を解読してみたりと、頭だけではなく体を使って文学を経験してもらう時間も設けています。
自分が学生だったころは、朝から晩まで図書館にこもって本を読みあさることもありました。尽きることのない泉のように、面白そうな本が目に飛び込んでくるのです。人類が残してきた文字の遺産に、みなさんもぜひ圧倒されてください。
ただし、文学研究とは、文学作品を読んで感想文を書くというようなものではありません。たとえばある作品について、その作者の意図を探るためには、その作者の生きた時代背景、人間関係、受けた教育、読書歴、宗教、政治思想、身分など、様々なことを徹底的に調査する必要があります。そうすることで、初めて文学の向こうに「人間」が見えてきます。文学研究に限らず、いわゆる「文系」の学問は、最終的には「人間」という存在についてもっと多くのことを知るための営みです。
文献と取っ組み合って、自然科学の物差しでは測りきれない無限の奥深さを持つ「人間」について知ることができる、それが文学部の学びです。
どのようなことに興味がある学生に向いているかお教えください。
そのまんまですが、国文学科は日本の文学や日本語について興味がある学生に向いています。
実際の学生を見ていると、我が道を行くタイプの人が比較的多いように思います。文学に興味を持つ人は、文学と自分との対話の中で、独自の世界を作り上げてしまうものなのかもしれません。それで良いのです。それが良いのです。そういう学生が、我が道を安心して歩き続けられる環境を用意しているのが国文学科です(教員も、多くはそうやって独自路線を突っ走ってきた人達だと思います。多分…)。要領が悪くても良し、人付き合いがちょっぴり苦手でも良し、周りから浮いていても良し。あなたがあなたのままで文学に没頭することを応援します。だから、どんな日本文学でも、どんな日本の言葉でも、脇目も振らずとことん突き詰めて調べたいという人にぴったりです。
もちろん、どの大学・学部・学科も、学びたいという学生の思いを大事にしようという気持ちは同じだと思います。
今から大学選びをする高校生にメッセージをお願いいたします。
まずは自分の思いを見定めてください。「大学なんてどこでもいいや」とか、「親や学校の先生に『ここを狙え』と言われたから」なんて、寂しいことは言わないでください。
自分が学びたいと思うことをしっかり持って、その学びが実現できる大学を探してください。それが全てです。そうして自分の人生を自分で選んでください。どこかに用意された、誰かの作った答えは、いったん忘れてしまいましょう。あなたの一番の理解者は、あなたです。
もちろん、誰かに相談するのも良いでしょうし、本やインターネットで情報収集するのも大事なことです。でもその上で、最後は自分の気持ちを一番大事にするのを忘れずに。
大学教員は、強くて熱い(できれば「熱苦しい」くらいの)やる気を持つ学生が入学してきてくれるのを毎年楽しみに待っています。あなたのやる気こそが羅針盤です。みなさんが、美しい港に辿り着けますように。
先生のご研究されていることをお教えください。
中国の経済を研究しています。特に中国の企業と、そこで働いている人々の待遇(賃金や、年金・医療などの社会保障)について研究しています。
製造業に限らず、日本の企業の中で中国と全く関係のない企業はほとんどありません。実際に、多くの卒業生が中国に駐在しています。経済成長の鈍化や米中摩擦の拡大、人権問題、新型コロナウイルス感染症の流行など、様々な課題があるにもかかわらず、中国は引き続き、多くの企業にとって長期的に最も重要な市場だと言えます。中国での企業のあり方や働き方の研究は、中国で活動する企業や人々の役に立つと考えています。
最近は米中の貿易摩擦の研究にも力を入れています。
その学部、学科でしかできない学びをお教えください。
経済学は高度に制度化され、分析アプローチも体系化された学問です。それゆえ経済学そのものは、少し面白みに欠けるかもしれません。けれども、経済学の手法を身に着ければ、日本はもちろん、外国、あるいは国際関係における経済問題や社会問題など分析対象は幅広く、興味・関心を持つことができる研究テーマが必ず見つかる学部・学科だと言えます。
どのようなことに興味がある学生に向いているかお教えください。
経済学部は、日本はもちろん、外国、あるいは国際関係における経済問題や社会問題などに幅広く関心を持つみなさん、そして客観的・論理的にものごとを考えたいみなさんに向いています。
私自身は、大学に入学してすぐに中国で天安門事件が起き、どうしてこのようなことが起きたのか興味を持ちました。また大学を卒業する頃には、当時あったソ連や東ヨーロッパで社会主義体制の崩壊が相次ぎ、経済体制に興味を持つようになりました。
今から大学選びをする高校生にメッセージをお願いいたします。
同志社は1875(明治8)年、新島襄によって創立されたキリスト教主義の学校です。「一国の良心ともいうべき人々を育成する」ことが新島の願いで、キリスト教を徳育の基本として、知育、体育にも優れ、個性豊かな「良心を手腕に運用する」人々を世に送り出すことに努めています。同志社であるかどうかに関係なく、これから大学へ進学する皆さんには、「精神なき専門家」(マックス・ウェーバー)や「良心なき逸材」ではなく、「一国の良心」となってほしいと願っています。
先生のご研究されていることをお教えください。
生き物が有する機能には、人が開発した製品以上の機能や特徴をもったものがあります。その生き物が持つ機能を工学的な観点から調べものづくりに応用するバイオミメティクス(生物模倣)を中心として研究を進めています。水鳥(カワセミ)のクチバシ形状をもった新幹線や、蓮の葉の撥水性に着想したヨーグルトの蓋といったことで聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。私たちの研究室では、水や空気といったものの流れについての学問である流体力学の観点から生物の機能を評価し、ものづくりに活かしています。例えば、カワセミのクチバシやカモノハシのクチバシの形状に着想したカヌースラローム競技用の船艇開発などをしてきました。
その学部、学科でしかできない学びをお教えください。
自動車もエンジンを動力源としたものから、モーターを生かしたハイブリッド自動車や電気自動車といったように日々変革しています。この変革の時期において、新たな企業の参入などが報じられます。しかし、動く・止まる・曲がるといった動作に違いはありません。そしてこの動作を支えている技術の開発には機械工学が密接に関わっています。この開発を進めていくためには、機械の「設計」をしなくてはなりません。機械工学科では、機械設計からものづくりいついて学ぶことができます。
どのようなことに興味がある学生に向いているかお教えください。
実際に手を動かし、ものを作ることが好きな方に向いていると思います。特に市販の製品を手にした際に、「なぜ、この形なのだろう?」「どうして、違う形にしなかったのだろう。」といったことを考える方に向いているのではないでしょうか。
今から大学選びをする高校生にメッセージをお願いいたします。
みなさんが10年後に「やってみたいこと」や「やっていたいこと」を想像してみてください。それを実現するためには、どんな知識や技術・技能が必要ですか?大学を卒業した自分をイメージして、その夢の実現できる大学を探してみてください。
先生のご研究されていることをお教えください。
患者さんが腎臓病や検査、治療、自己管理について、楽しみながら学べるeラーニングやアプリを開発し、無料公開しています。
腎臓は、機能が低下しすぎると尿が作れなくなり、低下した機能を補うためには透析治療が必要となります。透析は、週3回(1回4~5時間)の通院にて生涯継続される方が多く、患者さんの生活の質に大きく影響し、かかる医療費は年間約480万円と高額です。腎臓病は、成人の8人に1人が罹患しているメジャーな病気です。私は、透析が必要となる人を少しでも減らしたいという思いから、『腎臓ケアeラーニング講座』(https://plaza.umin.ac.jp/~jin/)と、『腎臓アプリ』(App Store、Google Playにて「腎臓アプリv2.2」で検索)を開発しました。
腎臓の機能が低下している方は、中年以上の方が多いです。そのため、コンピュータリテラシーが低くても一人で操作でき、老眼の人でも読みやく、一人で学んでも習得率がよく、繰り返し学びたいと思ってもらえるような教材をめざし、改良と開発に努めています。また、より多くの方に使っていただけるよう、健康フェスタなどのイベントでの操作体験会や、看護師向けの研修会を全国で開催しています。
その学部、学科でしかできない学びをお教えください。
看護学はあらゆる年代や健康レベルの個人、家族、集団を対象としており、彼らがより健康でその人らしく生活できるように支援し、健康回復を促進する環境に整えるために必要な知識と方法論について、学びます。そのため、大学では看護学や医学に関連する科目だけではなく、心理学、社会学、教育学、倫理学など幅広く履修します。
看護学の専門分野は、人間の発達段階や看護が提供される環境などに応じて、小児看護学、成人看護学、母性看護学、精神看護学、老年看護学や、在宅・地域看護学、国際看護学などがあり、それぞれの専門分野の知識と方法論について、学びます。チーム医療や国際看護、地域完結型看護などに力を入れている大学もあります。
看護学では多くの実習も行われ、実習での実践をとおして理解を深め、習得していきます。対象との関わりから得られる気づきや学びは、実習ならではの醍醐味です! 卒業研究では、実習での気づきを科学的に明らかにしたり、論理的に考察したりします。
卒業時には、看護師国家試験の受験資格が得られます。大学によっては、助産師や保健師の国家試験受験資格、養護教諭免許も得られます。
どのようなことに興味がある学生に向いているかお教えください。
看護学は人と関わる学問なので、人間を理解することに興味があり、人と関わることが好きな学生に向いています。人間の理解は単に健康面だけではなく、心理的、社会的な側面など、多面的に捉えることが必要です。豊かな感性を持ち、その人を理解することに主体的・能動的に取り組んでいけると、良いと思います。
また、看護学は健康を考える学問なので、健康への関心と意識が高い学生が向いていると思います。
今から大学選びをする高校生にメッセージをお願いいたします。
先ずは自分自身を振り返り、何に興味・関心を持っているのか、適性はどうか、将来はどんな風に働きたいのかを想像し、それに合った学部・学科を選びましょう。興味・関心・適性があれば主体的に学べ、学年が進むにつれて専門的になる研究への取り組みもスムーズです。それによって大学生活は有意義なものになり、働きたい仕事に就ける可能性は高くなります。その次に、地理的・経済的に進学可能か、受験突破も可能かなどを考慮して、志望大学を選ぶと良いと思います。
最も大切なことは、「自分は大学で何を学びたいのか?」をしっかり持って選ぶ、ということです。単に大学名で大学を決めたり、学部・学科の詳細を調べずに決めたりするのは、NGです。そして、最終的には自分自身で決める、ということです。いろいろな方の意見を聞いたり相談したりするのは、とても良いことです。しかし、最終的な決定は誰かのせいなどにはせず、自分で決めましょう。自分で決めたことならどんな場面に遭遇しても、何とかしていけると思います。
学部・学科、大学の数はとてもたくさんありますが、将来を具体的にイメージし、それに近づく大学選びができますよう、祈念しております。