大学生協の連帯活動

Ⅰ 全国大学生協連およびブロック(支部)

連帯活動とは

全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)に加盟する大学生協は、一つひとつの大学生協は経済事業組織としては決して大きくないため、連帯を通じて商品開発や事業の推進、ノウハウの共有を行いながら発展してきました。大学生協は組合員が大学の構成員に限られること、施設は原則的に大学のものであること、営業は大学の学事に制約されとくに長い夏休み・春休みがあるなどの特性がありますが、全国の協同によって均等な条件での事業運営が可能となっています。各生協は自立性を保ちながらも、大学の規模や特性にかかわらず対等・平等の立場で連帯に参加し、そこから多くを学んできました。
 

全国大学生協連

全国213(2024年12月現在)の大学生協は全国大学生協連を組織し、その目的は会員の事業支援や学園生活の充実にあります。全国大学生協連は、情報機器、書籍、海外旅行等の共同仕入れ、電子教科書univ DECSや辞書コンテンツDICTOOLの開発、情報発信、平和や社会問題に関する取り組みなど多様な事業を展開し、また、年1回の総会で全会員生協の意見をもとに方針を決定しています。このように、全国大学生協連は会員生協の総意で作られる組織であり、大学生協の総体を表す存在として、社会的に大学生協の全体を代表しています。また、各地の生協の活動を支え、豊かな大学生活の実現を目指し、会員生協の組合員活動や事業活動を支える事務局機能も担っています。
 

ブロック(全国大学生協連の支部)

全国大学生協 連では全国を7の地域に分けブロック(支部)を設置しています。ブロックでは「顔の見える連帯」という言葉のとおり、会員生協同士が距離的にも近いため、日常的に生協間の学び合い励まし合いが進められています。全国やブロックでの豊かな活動を通して、さらに地域での連帯活動の充実が目指されています。
 

Ⅱ 大学生協の事業連帯

事業連帯とは

大学生協は、各大学単独では規模が小さく経済的な力に限界があるため、全国大学生協連や事業連合を通じて連帯し、156万人(2024年12月現在)を超える組合員の力を結集しています。その一環として始まった共同仕入れ事業では、教科書や文具、食品等大学生活に必要な商品を、より良いものをより安く提供することを目指しています。1950年代から始まり、現在では大学生協オリジナルの教材パソコンなども展開しています。中でも教材パソコンは、独自アプリを搭載し大学生協ブランドとして確立しつつあり、電子教科書univ DECSや辞書コンテンツDICTOOLを活用した新しい学びにも貢献しています。
 

事業連合とは

1969年の東京事業連合創立以降、事業連合は全国に広がり、合併を経て効率化が進められました。2018年には中国・四国を除く6つの事業連合が合併し、大学生協事業連合が誕生しました。現在は大学生協事業連合と中国・四国事業連合の二つの事業連合が存在しています。

二つの事業連合は全国大学生協連と連携し、商品や食材の共同仕入れ、経理やシステム管理、店舗支援など、経済事業の中心的な役割を担っています。また、事業連合間でも協力し合い、共同調達やシステム開発が進められています。今後の競争環境に対応するためにも、組合員の意見を反映させた政策づくりと意思決定の連動が求められています。
 

会員生協理事会と事業連帯

大学生協は変化する環境の中で常に競争に直面しており、事業連合はその中で効率的に業務を支える役割を担っています。今後は、組合員の参加を重視した政策づくりや意思決定の連携が求められます。特に、会員生協理事会が組合員の声をどれだけ尊重し、事業連帯に反映させるかが重要です。
 

Ⅲ 連帯を会員生協に生かす

全国大学生協連は、2006年の第50回総会で「21世紀を生きる大学生協のビジョンとアクションプラン」を策定し、「協力・協同・自立・参加」という4つの使命を掲げ、全国の大学生協が共通の方向性を持って活動することを確認しました。2013年には社会の変化や活動の成果を踏まえて、新たなアクションプランが採択されました。

こうしたビジョンの実現には、各大学生協同士の連帯活動が不可欠とされています。組合員が店舗を利用し大学生協の良さを実感すること、現場での課題を店舗と事業連合が協力して解決していくことが重要です。

また、組合員が主体的に参画できる場を持つことで、生協を「自分たちのもの」として感じ、その力が事業に活かされます。経営においては、理事会が組合員と情報を共有しながら計画を立て、大学社会とのつながりを深め、連帯事業の改革や新規事業の検討を進めていくことが求められています。
 

ブロック(支部)のめざすこと

ブロックは、全国大学生協連の支部として、定款に定める「平和な社会を目指し、協同互助の精神に基づき、民主的運営によって全国の大学生活協同組合及び事業の共同を目的とした大学生活協同組合連合会の事業を育成指導し、学生・院生及び教職員の生活の改善向上をはかり、豊かな学園生活を実現する」という会の目的を当該地域において推進し、大学生協活動の総合的発展に寄与するために、次の役割を果たします。」ブロック規約に定めた、
  1. 総会及び理事会の決定を地域において具体化し推進する。
  2. 学生をはじめとする会員の理事・監事・組織委員・生協職員等の自主的な参加と交流を支援し、学びあい・励ましあいの場をつくる。
  3. 会員への総合的な支援・指導を行う。
  4. 理事、監事、組織委員、生協職員等の成長を育む。
  5. 行政、各種生協、友誼団体、学生等による非営利組織、その他の団体等とのつながりを強化する。
  6. 会の運営や意思決定への会員の役職員の参画を促す。
  7. 大学生協のない大学の構成員に大学生協の魅力を伝え、生協設立を支援する。
  8. 会員への総合的支援を促進するために、事業連合との一体的な運営に努め、事業連合のもつ事業・経営機能をブロックの活動に生かす。
  9. 会員の共済を図る事業を支援する。
という9つの役割を果たしています。さらに、ブロックには運営委員長、副委員長、常任運営委員会、学生委員会などの組織があり、各生協の総意をもとに多様な活動が行われています。