2017年07月07日(金) | 新着情報
あと少し頑張れば、夏休み。今年の真夏の夜の読書のおともに、昨年の全国読書マラソン・コメント大賞で寄せられた全応募用紙のなかから編集部が掘り出した20点をご紹介します。
『ゼツメツ少年』重松清/新潮文庫
自分のことが大嫌いなほうが、人間としてまし——僕はこの言葉の意味がわからなかった。自分のことが好きだと思うことよりも大嫌いなほうが人間としてまし。一体どういうことだろう。自分が嫌いな方が向上心を持てるし、他人よりも優越感に浸ることがないということだろうか。人が人を嫌いになるとき、いじめるとき、根底にあるものが、自分が思い込んでいる、そうと決めつけていることからズレてしまっている、ということではないだろうか。自分が好き=自分が基準になってしまうということなのだろうか。ゼツメツしてしまう少年たちと同じ思いを抱えている人は沢山いる。その人たちのことを知ってほしいからこそ、読んで欲しい。
(東京学芸大学/ヨコッチ)
『未来いそっぷ』星新一/新潮文庫
〈アリとキリギリス〉〈ウサギとカメ〉
誰もが知っている、昔話。そんな語り継がれてきた物語だって、星新一さんの手にかかれば “今風" に姿を変える。よく知っている物語だからこそ、そのパロディーは深く心に残る。作り変えることで何が言いたいのか?
どんな意味があるのか?スピードを出しすぎたウサギはスピード違反の取り締りにあい、働き者のアリは貯えが必要以上にあることに気づき、踊りはじめる。読めば一瞬の爽快感と後に残る感動を得ること、間違いなしです。
(横浜国立大学/ゆー)