2023年09月26日(火) | 新着情報
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10・21記念講演・映画会 |
プロフィール
新藤浩伸(東京大学大学院教育学研究科准教授)1978年山梨県生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)。専攻は社会教育・生涯学習。担当授業「博物館概論」で2012年以来わだつみのこえ記念館訪問活動を続け、2023年5月に「戦没東大生の遺稿展〜学徒出陣八十年」を企画開催。著作に『公会堂と民衆の近代』(単著)、『成人教育と文化の発展』(監訳)、『触発するミュージアム』(編著)、『文化政策の現在(全3巻)』『共生への学びを拓く』『社会教育新論』(いずれも共著)など。 |
全国大学生協連 23全国学生委員会 委員長 高橋 明日香
記念館を訪問し、大学生活とは何かを考え直すきっかけになりました。
私は、大学に行くことが当たり前という感覚で大学に進学した部分もありました。
大学でのほほんと生活を送っていた私にとって、展示での大学生の言葉一つひとつが胸に刺さり、なぜ学問を学ぶのか、なぜ大学で学ぶのか…様々なことを考えました。
また展示で一番印象に残ったことは、一人ひとりに家族や大切な人がいたという当たり前のような視点です。戦争で亡くなられた方という視点でみる機会はありましたが、その方の生活背景までが掘り下げられ知る機会はとても新鮮でした。今、家族や大切な人と離れる想像ができないくらい幸せな生活を送っていること、当たり前のように思えることは少し大げさかもしれませんが、奇跡だということを改めて大切にしたいと思います。
大学生活も当たり前のように毎日が過ぎていくことと思いますが、小さな幸せを誰かと語り合ってほしいと思います。
全国大学生協連 23全国学生委員会 平間 滉基
全国大学生協連学生委員会では、今年の4月にわだつみのこえ記念館への訪問を行った。記念館では、展示された遺稿の説明を聞きながら、かつて学を志しながらも戦地へと赴いた学徒達を、今の学生と言う立場から考え直すきっかけになった。
その声は、故郷へ残した家族への声、未だ図り得ぬ政治への声、死に面して吐露する文学の声、私は今の多くの学生に足りない渇望と求心と学びをそれらの声に見た。彼らは価値ある学びを自ずから深化させているのに、将来に向けた発展を遂げようとしているのに、それが戦争によって無用に変わっていく。
私がわだつみのこえ記念館に訪問して感じたことは敗北感だ。遺稿に残る彼らの言葉は私が考えるよりもずっと洗練されているように見えた。時代を思えば、到底、私の学など及ぼうと思うのもおこがましい。だというのに、彼らの学びは戦争によって失われてしまった。彼らが学び考えたことも、それだけの学びが出来たものも、ただ戦争が一様に葬り去った。
私は、学生は将来をつくるものだと思う。学び、研究することによって世界は発展してきた。世界の発展の礎は学生なのだ。人はそこに優劣を付けたがる。私もその一人だ。しかし戦争は優劣を気にしない。人を一様に戦禍に陥れる。戦争とはいかなるときも、発展の礎を崩さんとする。
私は、自分よりも優れていると嫉妬した。そして、それだけのものが失われたことに憤りを感じる。このようなことは繰り返されてはならない。それが声に残る願いであり、未来に向けて学生が訴えるべき願いだと思う。
全国大学生協連 23全国学生委員会 杉山 直輝
みなさんは「戦争」や「人生の最後」というものを身近に感じたことはありますか?
私は「きけ わだつみのこえ」を読み、今まで感じたことのない感情になり、私自身の生き方や考え方を見つめ直す機会になりました。
「きけ、わだつみのこえ」を手に取った瞬間から、私はこの書籍の中に封じ込められた数々の声に引き込まれました。まるで時を越えた風が吹いてくるような、その生々しい言葉たちは、私の心の中に深く突き刺さりました。この書籍は、第二次世界大戦中の学生兵たちの遺書や手紙を集めたものですが、それぞれの言葉からは、彼らの恐怖、絶望、そして希望や愛情が伝わってきます。一人一人の手紙は、時に痛切で、時に感動的です。私は何度も涙を流しながらページをめくりました。特に印象的だったのは、ある学生が兄へ宛てた手紙では、彼の将来の夢や希望、そして戦争の現実とのギャップに苦しんでいる様子が赤裸々に綴られていました。その手紙を読むと、彼がどれだけの夢を抱き、どれだけの希望を失ったのかを痛感しました。
「きけ、わだつみのこえ」は、ただの歴史書や記録ではなく、生きた証、そして過去からのメッセージとして私たちに伝わってきます。これらの具体的なエピソードを通して、私たちに戦争の恐ろしさや人間の強さ、そして愛の深さを教えてくれます。この本を読んで、私は日常の些細なことに感謝するようになり、そして平和の価値を再認識しました。私にとって「きけ、わだつみのこえ」は、ただの一冊の書籍ではなく、一生忘れられない体験となりました。
一人の人間として、そして未来を担う者として、この学生兵たちの声に耳を傾け、その教えを胸に生きていきたいと強く感じました。