読書の楽しさを伝えたい
そうした想いからスタートした読書マラソン・コメント大賞が今年も開催されます。
応募コメントは選考委員によって審査され、優秀作品を選びます。昨年は94大学の参加で、5,871通の応募があり盛り上がりを見せました。
今年も、さらに多くの心に残るコメントをお待ちしています。ふるってご参加ください!
今年も専門書を対象にした「アカデミック賞」を設けました!
主催:全国大学生活協同組合連合会
協力:朝日新聞社
一般財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)
■賞品
金 賞 図書カード3万円分……………………………1名
銀 賞 図書カード2万円分……………………………2名
銅 賞 図書カード1万円分……………………………3名
アカデミック賞 図書カード1万円分……………………3名
ナイスランナー賞 図書カード1千円分……………200名
■応募方法
1. 店頭にある応募用紙またはこのチラシの
応募用紙に必要事項をご記入の上、生協店舗にお持ちください。
2.お一人で何通でも応募することができます。
(
応募用紙1枚ごとにお名前とご住所をご記入下さい)
3.
応募用紙は返却いたしませんのでご了承ください。
■応募期間
2014年
6月2日(月)~2014年
10月10日(金)
※締切日までに受け付けたものを有効とします。
■選考と発表
2014年11月中に選考委員会で審査を行い、賞を決定します。
12月中に朝日新聞、『読書のいずみ』及び全国大学生協連ホームページを通じて賞の発表を行い、入賞者への通知と賞品の授与を行います。
■コメントの取り扱い
お寄せいただいたコメントは、大学生協の店舗、ホームページ、宣伝物、発行物などに掲載、もしくは冊子として利用することがありますのでご承諾ください。
■昨年度(2013年)コメント大賞 受賞作品
●金賞
法政大学/大森郁枝
『キケン』有川浩/新潮文庫
この本キケンです! 青春やり直したくなっちゃうから。
この本キケンです! 本気でバカになる楽しさ知っちゃうから。
この本キケンです! 最高の仲間を見つけたくなっちゃうから。
上野が火をつけたのは、爆弾だけじゃない。読んだ人の心なんだ。本を閉じたら、思わずどこかに、何かに突っ走りたくなる。もちろん、仲間と一緒にね。長くて短い、下手したら一瞬で終わってしまいそうな大学生活。どうせなら、彼らみたいにキケンなくらい刺激的な日々を送らなきゃ損じゃない?
●銀賞
小樽商科大学/A.K
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月/講談社文庫

地元に帰る度思う。地元に残った幼なじみと地元を離れた私。まるで別な世界を生きているように、見えているものがまるきり違うみたいに思える。おばあちゃんになってもずっと友達でいようと誓ったあの日がいつだったのかもう思い出せない。久しぶりと言う数が増える度、私の中に残るのは、昔に戻ることはないという喪失感だけ。将来の夢? ボーイフレンドの話? メークにネイル。目の前にいる彼女の興味は、私を通り過ぎてもうどこか、私の知らない場所にある。けれども私たちは、全く別の世界で全く別なものを見ているわけじゃなくて、ただ、それぞれの尺度で同じ世界を生きている。ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。そこにあるのは絶望じゃない。希望なんだ。
●銀賞
同志社大学/利田芽生
『たんぽるぽる』雪舟えま/短歌研究社
小説や詩を読む人に比べ、短歌を好んで選ぶ人はどれほどいるだろう。この本は、「短歌なんて高校の教科書以来」なんて人にもおすすめできる親しみやすさがある。しかし作品の魅力はそれだけにとどまらない。 かわいらしいタイトルと、表紙。初めてそれを見たとき、私は「またいつものか」と正直思った。ちまたにあふれる「自然の美しさやおだやかさで生きるよろこびを表した直球の作品」に飽きつつあったころだった。しかしページをひらいて表題作を見つけ、私の予想はみごとに裏切られた。 “たんぽぽがたんぽるぽるになったよう姓が変わったあとの世界は” 私は結婚をしたことがないが、その瞬間、あたたかい素朴な喜びが、心に染みていった。この歌集は、そんな日常生活によりそった幸せ、さびしさ、愛に満ちている。
●銅賞
早稲田大学/とも。
『パンとスープとネコ日和』群ようこ/ハルキ文庫
身体にしみ入る食べものがある。 おいしいサンドイッチに、おいしいスープ。どれも素材の味を感じるごはん。亡き母の遺した町の食堂を、アキコはそんな店にした。内装も、器も、メニューも、派手ではないけれど、“気に入ったもの”を信じたお店。 脳ではなく、心で味わう。無農薬だから、栄養素が良いから…それもいいけれど、一度そんな堅いことは忘れて、舌に、鼻に、心に、任せてみる。幸せも、悲しみも、自分に素直に。 この小説を読む時の私も自分に素直に。 時々ふと目を閉じれば、優しいネコの鳴き声と、優しいスープのにおいが、私の世界の空気も優しくしてくれる。
●銅賞
立命館大学/ねこなべ
『四畳半神話大系』森見登美彦/角川文庫
正直、大学とはもっと奇妙奇天烈なものだとばかり思っていた。怪しげなサークルや秘密機関が裏で踊り狂い暗躍し、常識の枠を軽くはみ出た奇人変人が10人に1人の割合ぐらいで潜み、サークルと中央団体の手に汗にぎる攻防戦、謎に満ちたアルバイト募集の広告が掲示板を埋めつくすなど、大学入学前にこの本と出会った私は、勝手に妄想をふくらませ、期待に胸をたかならせていた。ところが実際はそんなこともなく、なんとも平和で穏やかな日常をおくる今日この頃。大学ってこんなものだったのか……? いや違う、私がまだ実態を深く知らないだけだ! と夢を捨てずに、今日も今日とて「もう一つのキャンパスライフ」にふけっていくのであった。
●銅賞
立命館高校/やまこう。
『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ/集英社文庫
おい、おい。これ、俺やん。自意識過剰かも知れないが本を読んでいる途中に私が思ったことだ。今、高校生である私から見ると目を逸らしたくなるほどの現実がここには詰まっている。学校内での格差、将来への不安、青臭くて切ない恋。大人から見たら鼻で笑われそうな、ちっぽけだけど大きな悩み。重圧と不安で押しつぶされそうになる毎日。私たちが過ごす戦場が残酷に、しかし、一縷の光をもって描かれている。これは明日も戦場へ赴く私たちの背中を押してくれる一冊だ。
●アカデミック賞
名古屋工業大学大学院/シーザー
『文明が衰亡するとき』高坂正尭/新潮社
世界史上、たった2つの千年帝国であるローマとヴェネツィアを通して文明の衰亡を見る。 どちらの国にも共通するのは、国として豊かになると、社会保障にあてる国費が増加し、やがてそれが賄いきれなくなることで、社会不安が増大していくということである。 この本でも語られるように、これはモロに現代日本の抱える問題であり、恐らくそれが顕在化するのは私たちの世代だ。文明の衰亡とは、私たちの世代にとっては、決して遠いコトバではない。