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2016年06月24日(金) | 新着情報

阪神の消費者教育
学生が進める「消費者市民社会」の形成
兵庫県との「消費者教育に関する協定」から6年大学生協の消費者教育の進展

これからも、消費者市民社会を目指して

大学生協阪神事業連合が兵庫県と「消費者教育に関する協定書」を締結して6年となりました。その過程では、「消費者教育推進法」も施行され、大学生協「大阪・兵庫・和歌山ブロック」(以下、大兵和ブロック)での消費者教育のとりくみは大きな変化を伴い、進められています。このとりくみの特徴と現状をお知らせするとともに、2月に神戸で開催された「消費者・事業者・行政によるワークショップ」の報告をします。

 

全国消費者フォーラムで事業者とともに報告


全国消費者フォーラムでの大坪さんと村井さんの報告

去る2月23日、東京のアルカディア市ヶ谷(私学会館)で、国民生活センター主催の「全国消費者フォーラム」が開催され、消費者・消費生活専門相談員・事業者・行政担当者・研究者など、参加者は600人に及びました。

当日は、5分科会に分かれ、29団体が活動報告を行いました。その一つとして、関西学院大学生協の大坪多恵子学生委員長が、住友生命の村井正素氏(お客さま満足推進部・上席部長代理)とともに、大兵和ブロックを代表して報告をしました。

大兵和ブロックでは、昨年の10月に、セミナー「ライフイベントと経済的な備えの基礎知識」を開催し、60名の参加を得て、非常に高い評価を受けました。このセミナーは、大学生協の学生委員が「大学生のうちから人生設計を考えておくことは、今後の人生で賢い選択をしていく上でも大切」と考え企画し、それに賛同いただいた住友生命保険相互会社からの講師派遣により、大学生協と事業者の協働が実現したものです。

このきっかけは、適格消費者団体「消費者支援機構関西」(以下、KC's)が主催する「事業者と消費者の双方向コミュニケーション研究会」に、大学生協の学生と住友生命が参加しており、3年間もの意見交換を積み重ねて実現したものです。
 

 

事業者や行政と進む多種多様な連携


消費者・事業者・行政によるワークショップ 120名の参加

阪神事業連合が兵庫県と「消費者教育に関する協定書」を締結したのは2010年5月で、当初は学生が悪質商法の被害に遭わないよう、その防止策のセミナーや学習会などのとりくみが中心でした。

しかし、12年12月に「消費者教育の推進に関する法律」が施行され、この法律を貫く基本的な概念として「消費者市民社会」が提起され、行政はもちろんのこと、大学や事業者も消費者教育を推進する努力義務が生じたことにより、消費者・大学・事業者・行政の一層の連携が求められるようになりました。

また、消費者市民社会は「公正で持続可能な社会を、消費者が創っていく」社会であり、その実現を目指し、消費者には「賢い消費者」としてそれに沿った商品やサービスを選択していくことが求められています。

この法律の施行を受け、阪神事業連合と大兵和ブロックの消費者教育も、〝ダマされる、ダマされない〟といった悪質商法対策だけにとどまらず、消費者市民社会を意識し、幅を広げたとりくみに変化していきました。大坪さんが報告した「ライフイベントと経済的な備えの基礎知識」セミナーもその中での成果の一つです。
 

 

消費者教育推進委員会と安全・安心推進員

それらに加えて、この間の大きな変化の一つに、大兵和ブロックでは、14年2月に学生と生協職員約20名で構成する「消費者教育推進委員会」を設置したことがあげられます。これにより、ブロック全体で継続して有効なとりくみを進める基盤ができ、ブロック内の各大学生協に消費者教育の推進がより強く働きかけられ、各大学生協での学習会やとりくみが進むこととなりました。

さらに、兵庫県と共同で大学生を対象に進めてきた、「くらしのヤングクリエーター」養成に加え、県の「くらしの安全・安心推進員」に、ヤングクリエーターのOBと大学生協の専務理事をはじめとした生協職員を登録することとしました。これにより、ヤングクリエーターが大学を卒業しても、引き続き推進員として県の消費者教育に参加できることとなりました。また、専務理事などが推進員となることで、大学生協が、より地域に根ざし、地域との連携も進むこととなります。現在30名の大学生協関係者やOBが、県知事から「くらしの安全・安心推進員」に認定されています。

 

一連の活動の集大成消費者・事業者・行政によるワークショップ


さまざまな世代でのグループワーク

大兵和ブロックと各大学生協では、一年を通じて消費者教育のとりくみが、20企画ほど行われています。そして、その集大成と位置づけられるのが、毎年春に行われる、ワークショップです。

今年も、去る2月27日に、兵庫県民会館にて、兵庫県・ひょうご消費生活三者会議・大学生協阪神事業連合の主催、(公社)消費者関連専門家会・KC's・大学生協大兵和ブロックの後援で、「消費者・事業者・行政によるワークショップ〜世代を超えてコラボする消費者市民社会〜」として開催されました。

参加者は、大学生40名・高校生16名・大学生協や消費者団体職員19名・民間の事業者21名・兵庫県などの行政24名、合計120名となりました。高校生は明石高校からの参加者で、兵庫県(庁)からも18名もの職員が参加されました。文字通り、世代を超えて、多様な立場の方たちが集ったワークショップとなりました。

ワークショップの内容は、《別掲のプログラム》に沿い運営されました。
「くらしのヤングクリエーター」活動認定証交付式では、今年は26名の学生に交付され、「くらしの安全・安心推進員」も登壇し紹介されました。

3名による講演ののち行われたワークショップでは、一つのテーブルに高校生から社会人まで6〜7人が混在し、ファシリテーターから提起される課題を楽しくも真剣に取り組んでいきました。最後は、最優秀のグループを選び、講評をもって終了しました。
なお、このワークショップの行われた午前中には、「事業者と消費者の双方向コミュニケーションの実践の場」として、三つの事業者(日本ハム株式会社・住友生命保険相互会社・高見株式会社)と約30名の学生が参加して、3時間に及び、一定のテーマに基づき意見交流会を行いました。

大兵和ブロックの消費者教育は、多様な層との連携を伴い、学生たちによる消費者市民社会の形成に寄与していきます。そして、ここに参加する学生たち自身の社会で生きていく力も育んでいます。

 
(編集部)


消費者・事業者・行政によるワークショップ
〜世代を超えてコラボする消費者市民社会〜
 
13:00〜13:05 開会あいさつ
兵庫県企画県民部女性生活局 岡田由美子局長
大学生協阪神事業連合 小山修平理事長
(大府立大学名誉教授)
13:05〜13:20 くらしのヤングクリエーター活動認定証 交付式(26名)
13:20〜13:30 くらしの安全・安心推進員の紹介
13:30〜14:30 講演1
最近の消費者トラブル事例と消費者ホットライン188について
消費者庁消費者教育・地方協力課 吉田朗 氏

講演2
効果的な広報を行うために
日本ハム株式会社・広報IR部 佐古井尚 氏

講演3
適格消費者団体 ひょうご消費者ネットの活動紹介
ひょうご消費者ネット 理事 吉江直記 氏(司法書士)
14:30〜16:20 ワークショップ
ファシリテーター 瀧井智美 氏(Office ICB代表)
16:20〜 講評
適格消費者団体 消費者支援機構関西(KC's)
副理事長 片山登志子 氏(弁護士)

閉会あいさつ
実行委員長 田中喜陽さん(兵庫県立大学)
 
主催:
兵庫県、ひょうご消費生活三者会議、大学生協阪神事業連合
後援:
消費者関連専門家会議(ACAP) NPO法人消費者支援機構関西(KC's) 全国大学生協連 大阪・兵庫・和歌山ブロック
 
『Campus Life vol.47』より転載

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