レモンさん インタビュー

“昭和の子育て”は卒業! 気づきを与える存在になろう

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ラジオDJ
「レモンさん」こと
山本シュウ さん

価値観が多様化しつつある今、自分が納得できる進路を選ぶには、どのような心構えが大切なのだろうか。ラジオDJ、PTA会長、メンタルコーチなどの立場から子どもたちを見守り続けている「レモンさん」こと山本シュウさんが、高校生と保護者へのメッセージを熱く語ってくれた。

レモンさん(山本シュウ) 1964年大阪府生まれ。「おせっかいな男おばちゃん」を自称するラジオDJ。NHK Eテレ「バリバラ」の司会として活躍するとともに、大阪大学の非常勤講師を務める。「レモンさん」というキャラクターで小学校のPTA会長を5年間務め、学校や企業での講演は500回を超える。プロコーチの資格を持ち、スポーツメンタルコーチとして日本代表クラスの選手のサポートにも従事。日本各地で「スポーツメンタルコーチング勉強会」を開催し、選手が主体となる指導法の普及にも取り組む。著書に『レモンさんのPTA爆談』『PTA会長レモンさんの子育てビタミン標語』(ともに小学館)。

自分らしさが将来につながっていく

 高校の思い出といえば、体育祭の応援合戦。学ランを着るんじゃ当たり前すぎておもろない。全校生徒を笑かそうと、ハゲのカツラにステテコのおっさんスタイルにしたら、大ウケして見事優勝。今の自分に通じる、「オリジナ・ル」「パワフ・ル」「スケー・ル」の“3Lの力”が目覚めた出来事やったね。

 ファミレスや喫茶店などでバイトをして、お客さんのいろんな価値観に触れたのもいい経験やった。バイト先の喫茶店にはカセットテープがいっぱい置いてあって、お客さんのリクエストでBGMをかけてたんよね。結果的にラジオDJの基礎になったから、今、考えると運命やなと。それぞれの時期を自分らしく生きてると、将来につながっていくもんなんや。

心を揺さぶられた先生との出会い

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 進路を考えるうえでは、先生の影響も大きかった。高2の時、予備校の先生が「これからの時代は大学に行ってない奴はクズ扱いされる」って言うたんよ。僕のまわりには高校に行くお金がなくて中卒で働いてる友達もいたから、「カチン!」ときて。敢えて「自分は大学には行かずにハッピーになってやる!」と決意したんよね。この経験で“リセット力”が身についた。

 誤解がないように言うとくけど、僕は大学に行くことを否定するわけやない。大学に行くことで見えてくるものもたくさんあると思うし。大切なのは、「これだ!」とか「これは違う!」という直感を信じること。いつでも自分でリセットボタンを押せる勇気と行動力は持っておいた方がいいと思うんよ。

 もう一人、忘れられへんのは高3の進路指導の先生。僕が「音楽やりたい」と言ったら、「それやったら、さっさと高校なんか辞めて打ち込んだら?」と軽く言われたんよね。その一言がきっかけで、周囲に合わせて流されるんやなく、自分で選んだ波を自分の力で乗りこなしていく“テイクオフ力"も意識するようになった。

 それからはクラブのプロデュースをしたり、ニューヨークに移住してあらゆるものを五感で体験しまくったりしてから芸能活動を始めたんやけど、不思議と必要な時に必要な人との出会いがあって運命が開けていったんよね。

 興味のあることに向かって動いてみれば、気づきがあるし、出会いもある。その中で「もっとこうしたい」と感じたことが目標になる。すると、その先に「いつかこうなったら最高やろうな〜!」という夢も見えてくる。高校生のみんなには、直感を頼りにして、自分の感性や才能をどんどん掘り起こしていってほしいんや。何事も楽しく真剣に取り組めば、失敗しても全てが「学び」になるから、心配せんでええねん!

昭和のチップを捨ててめざせ!信頼の5つ星

 保護者の人に伝えたいのは、子どもの“信頼の5つ星"になろうということ。「この人は世界一、自分のことをわかってくれてる」という理解者、「応援してくれてる」という応援者、「信じてくれてる」という信者、「認めてくれてる」という承認者、「気づかせてくれる」という指導者。この役割をはみ出さない範囲で、いろんな生き方のメニューを並べてあげてほしいんよね。ただし、選ぶのは子ども自身やから、保護者は見守らなアカンよ。

 この「見守る」っていうのが、意外と難しい。僕も含めて大人の中には、ひと昔前の昭和のICチップが埋め込まれてるから。すぐ感情的になる、人の話を最後まで聞けない、絶対に自分が正しいと思う、0か100かの極端な考え方をする、わけもなく上から目線、何でもすぐアドバイスしようとする、すぐ戦闘モードに入る、すぐ悪者探しをする、すぐ人と比べる、そして男尊女卑。自分の中に、こんな時代遅れのコミュニケーションをとらせる昭和のICチップがあることに気づいたら、すぐに“信頼の5つ星"のポジションに戻ってほしい。「あなたはそう思うんだね」と同調しながら、子どもの話を否定せずに聴くだけで、「見守っているよ」ということは十分に伝わるんやから。

「ラジコン人間」から「自走式人間」に

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 「かわいい子には旅をさせよ」と言うけど、特に一人旅から得るものは大きい。一人旅って、実は二人旅なんよね。一人の時間に、もう一人の自分とがっつりコミュニケーションを取るから。自分の本音と向き合って、そのためにどうすればいいかを考える。これを繰り返して自己プロデュースができるようになると、人に言われて動く「ラジコン人間」から、自分で考えて動く「自走式人間」になれるんよ。だから、そのためのチャレンジを認めてあげてほしいんや。

 どの子もみんな、その子ならではの強みを既に持ってる。だから、教えるのではなく「気づかせる」。怒るのではなく「考えさせる」。押しつけるのではなく「自信をつけさせる」。それが大事だと気づけば、子どもの世界一の応援者になれるはずやで!