大学受験生を持つ親として「この子のために何ができるだろう」「どのようにバックアップしたら良いか」と、悩む方は多いと思います。今回、お話しを聞いたのは2020年度、同志社女子大学に入学された学生さんと、そのお母様。受験~合格~入学のステップにおいて、お子さんとお母様がどう向き合ってきたか、そして互いの当時の心境について振り返っていただきながら、お話を伺いました。
写真左から
和田 明日香さん(同志社女子大学 表象文化学部 3年)
和田 佳寿子さん
和田 明日香さん(以下 明日香さん):
同志社女子大学 表象文化学部 日本語日本文学科 3年の和田明日香です。大阪出身です。同志社生活協同組合にはいろいろとお世話になっていて、学生委員会にも入っています。本日はよろしくお願いいたします。
和田 佳寿子さん(以下 佳寿子さん):
明日香の母の和田 佳寿子です。今日のテーマは受験の時のお話ということですが、実を言いますと受験に関してはまるっきり本人と高校に任せきりでした。ですので、参考になる話ができるかわかりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
和田 佳寿子さん
佳寿子さん:
娘は私学の共学で特進コースに通っていました。特進コースの授業は週に40時間。私は、週に40時間も勉強するなら、学校だけで十分。予備校や塾に通わせる必要はない、と思ったんですね。それで、担任の先生に言ったんです。「私学に高いお月謝を払って通わせている分、うちの子を塾や予備校に行かせるつもりはありません。学校できちんと教えてくださいね」と。そしたら、先生が「分かりました。しっかりと面倒を見させてもらいます」と言って下さったんです。それからはもう、受験に関しては学校と本人にお任せしようと。私も主人もほとんど口出しはしませんでした。
和田 明日香さん
明日香さん:
家ではほとんど勉強せず、高校で勉強して、わからないところは先生に見てもらっていました。通っていた高校は、たとえば職員室の前に「質問用ホワイトボード」というのがあるなどして、なんでも質問できる環境でした。なので、聞きたいことは全て学校の先生に質問して、その場で解決していました。受験勉強は、いっさい家に持ち帰らなかったですね。
佳寿子さん:
親として何かしたほうが良いのか、と思うこともありましたが、学校がしっかりと面倒を見てくれていたので、受験については学校に甘えさせてもらいました。それでも、明日香は試験となれば学年で一桁台の上位をキープしいるので、私たちも安心して任せられました。学校の先生と明日香との間には信頼ができているように見えましたし、もしもそれで勉強をしなかったり、成績が下がってしまったら、それはこの子の道。勉強できる環境がある中で、勉強をする、しない、は自分で決めることですから。私たち両親は口を出さず、見守っていよう、と決めたのです。
明日香さん:
学校の雰囲気も良くて、先生が誰かに勉強を教えていたら、「何してるの?」と言って生徒が集まってくるんです。「ああ、ここ、私も分からへんかった」と、自然にみんなで勉強する輪ができるような感じでした。
明日香さん:
はい、受験のストレスは全然なかったですね。
佳寿子さん:
私たちが受験生だった30数年前とは時代が違う。昭和じゃなくて、今は令和ですからね。私たち昭和の親があれこれ言うのはぐっと我慢して、“今のやり方”を分かっている学校の先生に娘をお任せするのが一番だと思いました。結果的に、学校を信頼して正解だったと思います。
佳寿子さん:
予備校や塾に通わせたくなかったのは、学校に対する期待もそうですが、通学に1時間位かかるということもあって、やはり女の子ですので帰りが遅くなるのが心配、という理由もありました。一度は不安になって、「予備校や塾に行かせたほうが良いのか」と学校の先生に相談したこともありました。でも「明日香さんはこのままで大丈夫ですよ」という言葉をいただいたので、その言葉を信じて予備校や塾には通わせませんでした。
明日香さん:
私自身も予備校には行くつもりはありませんでした。2歳上の兄も予備校や塾には行かず、学校の先生の指導だけで大学合格したのを見ていたので、私にもできると思っていました。
佳寿子さん:
そうなんです。この子の兄は今、社会人1年生ですが、その前は大阪芸術大学に通っていました。芸大の受験ってちょっと特殊じゃないですか。私も主人も芸大受験なんかしたことないし、どんな試験があるのかまったくわからないから、どうしようって思っていたんですよ。そうしたら、息子が自分で美術部のコーチにいろいろとアドバイスをもらってきて、自ら芸大の受験勉強を始めたんですね。その時、「あぁ、これは私たちが何か言うよりも、学校の先生に任せるのが一番だな」って思ったんです。だから、明日香の時にも、信頼できる先生がいたので安心してお任せしました。
佳寿子さん:
ありがとうございます。
明日香さん:
オープンキャンパスには7、8校は行きました。1年生の時から京都、神戸のあたりの大学を訪問しました。下宿をしたかったので、片道2時間以上かかるくらいの大学を中心に見ていた感じです。全て母と一緒に行きました。
佳寿子さん:
私自身、娘と一緒にオープンキャンパスに行って本当に良かったと思っています。なぜなら、いろいろな大学を見学できたし、娘のいろいろな一面を見ることができたので。
というのも、ある神戸の大学のオープンキャンパスに行った時に、すごくきれいな学校で、通っているお嬢さんたちもすごくキラキラしているような、明るい雰囲気の学校だなと、私は思ったんですね。でも、明日香が帰りの電車の中で「今日、行ったところはやめるわ」というんです。その理由を聴くと、「なんかちゃらちゃらしていていやだ。私は勉強しに行くねん。彼氏に会いに行くんとちゃうねんから、今日の学校はパス!」ということで。あ、この子はこういう意思をはっきり持っているんだな、と。そういう一面を見れたこともうれしかったです。
明日香さん:
はじめは“場所”や、“女子大”というだけで大学を選んでいましたが、次第に“自分に合う、合わない”を肌で感じるようになりました。自分の偏差値と、大学のカリキュラムや設備、そして通っている学生さんたちの雰囲気などを総合的に見て、最終的に「ここに行きたい」というのがわかってきた感じです。同じ女子大でも、似たような名前の学部でも、やはり大学が違ったらやっていることが違うので、オープンキャンパスに行っていろいろな大学を見学できたことは本当に良かったと思います。