日々の生活や健康管理、学校のことや勉強のこと…親御さんたちの心配は尽きないものです。大学受験が近づいてくればなおさら。今回は、これから受験を迎える高校1〜2年生の親御さんたち5人にお集まりいただき、現在抱えているお悩みや心配事について伺いました。また、現役大学生にも登場いただき、受験生時代のことを振り返りながら親御さんたちからの質問にも答えてもらいました。
*ビデオ出演 東洋大学 文学部 史学科
鈴木 道也 教授(東洋大学生協 理事長)
佐知 恵美子さん
佐知 恵美子さん(以下、佐知さん):
佐知恵美子と申します。長男が高校2年生です。部活動はサッカー部に入っています。中学生の時はクラブチームに所属し、高校でサッカー部に入りました。大学進学について息子なりに考えているようなので、私も知識を得て少しでも彼の力になりたいと思い参加させていただきました。本日はよろしくお願いいたします。
加藤 亮子さん(以下、加藤さん):
加藤亮子と申します。息子が3人いまして、長男が高校2年生です。中学までバスケットボールをやっていましたが、高校では写真部に所属しています。活動日が少ないということで選んだようです。息子はいくつか夢があって進路をすごく迷っています。どのように調べて、どのように選択していくと、彼の本当にやりたいことにたどり着けたり、出会いがあったりするのか。夢を叶えるためにどんな大学にいったらいいのか。いろいろお伺いしてみたいと思い参加させていただきました。よろしくお願いいたします。
神谷 朝子さん
神谷 朝子さん(以下、神谷さん):
神谷朝子です。息子が高校1年生で英語科に通っています。部活はガーデニング部に入っています。息子はまだ将来なりたいものが決まっていないのですが、漠然と大学には行くものだと思っているようです。私自身、日本の受験したことがなくて、受験をする、推薦を受ける、もしくは外国の大学に行く、といった選択肢をどのように選んでいったらいいかを学びたくて参加を決めました。本日はよろしくお願いします。
金子 明子さん(以下、金子さん):
金子明子と申します。娘が高校1年生です。中学ではソフトテニス部に入っていたのですが、高校は硬式テニス部しかなく、悩んだ末に以前から興味があった写真部に入りました。先日は文化祭があり、たくさん写真を撮れたようで楽しそうにしていました。まだ1年生ということもあって、「みんなが大学に行くから私も行く」という、そんなふんわりとした考えです。私は逆に、やりたいことが見つからないんだったら、大学に行っても本当に行きたい子に対して失礼じゃないかと考えてしまって。でも私自身、大学受験に対して知識不足なので、彼女にアドバイスもできないので、ここで学べることがあればと思い参加させていただきました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
園田 紘美さん
園田 紘美さん(以下、園田さん):
園田紘美です。うちも3人子どもがいて、長女が高校1年生です。部活は茶道部に入っています。高校受験では中3のぎりぎりの時期に学校を決めたこともあるのですが、高校に入ったら、もう大学のオープンキャンパスに行ってくださいとか、プレッシャーをかけられています。まだ高校受験が終わったばかりで、やりたいことや大学のことなど言われてもピンとこない様子なので、やはりもうこの時期から将来のことや行きたい大学を決めなければならないのか。皆さんのご家庭ではどうなのか。参考にお聞きしたくて参加しました。
佐知さん:
部活動と勉強の両立については、私がもっとも心配していて、今日一番知りたいことでもあります。息子は志望校をある程度決めていますが、サッカー部の部活動も3年生の最後までやると決めています。私は両立をしてほしいと思っているのですが、一方で部活と勉強との両立は相当努力しないと難しいのではないかと考えています。サッカーをやめて勉強だけしても勉強が身に入らないような気がしているので、両方を頑張ってほしいですが、じゃあ、どのぐらいの時間勉強をしたらいいか。時間配分はどうしたらいいのか。志望校に受かるために、どんな両立の仕方、勉強の仕方をしていったらいいのか…。現実的に両立できるのかが不安です。
加藤 亮子さん
加藤さん:
小学校から中学校までバスケットボールをしていましたが、高校では通学に時間がかかるので続けられるかが不安で入部は諦めました。一方で、予備校に通っていて、1週間のスケジュールをしっかりプランニングされているのでそのプレッシャーはあるみたいです。でもやはり、部活がないと気持ちが緩むんですね。中学校でバスケをやっていた時には「自分の時間がない」と嘆いていたのに、部活をやめてからは趣味の模型づくりをしているか、ぼーっといているか、塾で決められた分だけの勉強をするかという感じになっています。やはり打ち込めるものがあるというのはいいと思いますし、かといって時間が削られてしまうのも問題なので、どちらがいいかは私も分からなくて。ただ、両立するために、できる子はいかに効率的に物事を進めるかをしっかり考えていると思います。それは社会に出てからも役立つことなので、両立できるならばやった方がいいと思いますね。
神谷さん:
息子はガーデニング部で活動内容がよくわからないので、部活と勉強の両立というテーマに当てはまらないかもしれませんが、やはり部活を頑張っていれば推薦をもらえるなどのメリットもありますよね。日々の両立はもちろん大変でしょうけれど、やはり両立の捉え方は、そのご家庭とか、その子自身によって変わってくるのかなと思いました。うちの子には当てはまらないのが残念なんですけど、そう思っています。
金子 明子さん
金子さん:
うちも写真部なので部活と勉強の両立というのは、ちょっと外れてしまうかもしれませんが、本当に受験するに当たって、時間の使い方が肝になってくると思います。娘は時間の使い方が下手というか、なかなか集中できなくて、私の目を盗んではYouTubeを見たり、スマホをいじったりしているのでどうしたら勉強に身が入るのかと悩んでいます。
園田さん:
うちは中学まで体操部でしたが、ちょっと大変だったみたいで、高校に入ってからは茶道部に入りました。でも、もし本人がすごくやりたい、両方やるんだという意志を強く持っていたら、私はたぶん両方やりなさい、自分で決めなさいと言うと思うんですね。でもそれはそれで、大学受験を考えた場合はすごく不安なんですけど、そういう気がします。
佐知さん:
やはり一番は、行きたい志望校に入れるかどうかです。まだ予備校に行っていませんが、その大学に特化した予備校を選ぶのがいいのか、そういったところもまだわかっていなくて不安があります。また本人は今のところ文系を選択していますが先生に理系が向いていると言われているので、どちらを選択するのがよいのかということも悩みます。あとはやはり先ほどの部活と勉強の両立もそうですが、親としてどう見守っていくべきかという、見守り方についてですね。
加藤さん:
息子は今、外国語コースに通っていますが、理系の大学に行きたいということで予備校に入れたんですけれど、もともと文系なので文系の方が偏差値が伸びると言って文系で受けようかと、気持ちが揺らいでいるんですね。私としては、将来の夢のためには、理系から行った方がきっといいのでしょうけれど、もし文系に進んだとしても大学生活が4年間あるので、その中でまた迷ったり、進路を変えたりしてもいいとも思います。その選択について、親としてどのようにアドバイスしたり、どう背中を押したらいいかというところで悩んでいます。
神谷さん:
大学入試までは親が準備するというよりは、息子が行きたい大学を見つけて、そこの偏差値に至るまで勉強し続けることがまず第一のことなので、親ができることとしては、彼のモチベーションをどうやって維持してあげようかなとか、まだやりたいことも学校も決まっていない彼に対して、どういう選択肢を勧めてあげられるかということだと思うんです。ワンランクでも上と言ったら、親の欲ですけど、でもせっかく勉強しているし、その中で最大限目標を上げていってもらうには、どのように接してあげるのがいいとかなというのが一番、私の今の悩み事です。
金子さん:
娘が中学受験のときに、言い過ぎるくらい言って彼女を追い詰めてしまったので、それからは黙って見守る方向でいこうと思っています。ただ、高校受験の時に、本当にぎりぎりで決めていたので、多分大学でもぎりぎりに決めてくるんじゃないかと思うとちょっと心配ですね。まだ1年生なので、そもそも文系がいいのか、理系がいいのか、それぞれの選択のメリット・デメリットなどをまだわかっていないので知りたいところです。
園田さん:
神谷さんと同じですが、親として子どもにどう声掛けをしていったらいいかな、ということですね。基本的には、私は声を掛けない方なんですけど、子どもが大学を探す時に悩んでいたら一緒に探してあげたい。でも、まず私が大学名をあまり知らない。有名な大学はもちろん名前は知っていますけれど、いい学校でも人数が少ない学校だったりすると、知らない大学とかもあったりすると思うので、どのように娘に提示してあげられるかということに悩んでいます。なかなか家を出たがらない娘なので、オープンキャンパスなども私が積極的に連れ出した方がいいのかな、ということも思います。
佐知さん:
大学の情報は各大学のホームページを見たり、周りのお友達や先輩のお母さんたちから聞いたりするくらいです。オープンキャンパスは息子が行きました。私も行きたかったんですが友達と行くと言うので。オープンキャンパスはその1校だけなのでオンラインでも参加していません。
加藤さん:
大学の情報は、予備校から息子がもらってきます。どうしても手に入らないものは私が直接、その大学の方に連絡をしてもらっています。そうすると、広報の方が連絡をくれて、説明会があるので、よかったら参加しませんかということで、親子で参加したこともあります。あとはいろんなところで「息子はここに行きたいと言っている」と言っています。そうすると自ずと情報がいろいろと入ってくるので。息子はたぶん嫌だと思うんですけど、職場などで言ってみると、意外と「僕、そこの出身なんですよ」とか「知り合いがいるので、いつでも声を掛けてください」といって情報をくださる方がいるんです。そういった形で予備校では得られない情報をもらっています。オープンキャンパスは、高校1年生の時に宿題として参加するようにというのがあったので参加しました。まだコロナ禍だったのでオンラインしか申し込みができず、参加者数も限られていました。あとは家が府中市なので東京外国語大学が近くにありまして、国立大学をちょっと見てみようということで、新設の学部のお話を聞きにいったことはあります。予約をしてお話を1時間半ほど聞いたんですけれども、大学の雰囲気がすごくわかってとても有益でした。
神谷さん:
さすが2年生のママだなと思って聞いておりました。うちはまだほとんど何もしていません。大学の情報は、息子がおそらくインターネットか、本を買って調べているのだろうと勝手に私が考えています。あと、オープンキャンパスには行ったことがないですし、オンラインでも参加をしたことがないです。
金子さん:
私も神谷さんと一緒でまだ何も情報収集をしていないですが今2年生の先輩のママのお話を聞いて、すごいなと。早速動きだそうと思いました。
園田さん:
私もインターネットでホームページを確認するぐらいで、オープンキャンパスとかは行っていないし、オンラインでも行っていないです。私や夫が行った大学のことを伝えるぐらいはするんですけれど、何せ、だいぶ前なので参考にはあまりならないと思うので。これから積極的に動きたいと思います。
佐知さん:
志望している大学は、本人が「この大学がいい」と決めてきたので、それに対して私は何も言うことはないと思っています。今教えてもらっている外国語の先生や家庭教師の先生もその大学を薦めてくださっていますし、サッカー部にもその大学に進学した先輩がいるようなので、あとは本人の意思に任せようと思います。大学に期待することとしては、やはり大学時代に学ぶことや出会う人から、いろいろな刺激をもらって人間性が構築されていくと思いますので、息子がそこで広く有意義な経験をさせてもらえたらいいなと思います。
加藤さん:
佐知さんと同じですが、貴重な4年間の大学生活ですので、たくさんの人と出会って、いろんなものを見たり知ったりする4年間にしてほしいですね。私自身、やりたいことがなくて何となく短期大学に入って、就職も何となくした人なので、息子が「やりたいことがある」と言ってくれるだけで嬉しく思います。皆さんとお話ししていて、私はかなり過保護なんじゃないかということに気づきました。これまでは息子がこれをやりたいと言った時に私が全面的にバックアップしようと、積極的にしていたんですが、これからは自分の出方も見直しつつ、とにかく応援して、彼がやりたいことに近づいてほしいという気持ちが、すごく強いです。
神谷さん:
加藤さんと同じで、皆さんのお話を聞いていて自分が過干渉ということに気づきました。できるだけ干渉したくないし、子どもは自立させなきゃいけないと思っていて、大学は独立の第一歩になってほしいとは思っているんですけれども、実際にそうなった時に「やっぱり助けたかった」とか思いたくなくて、口を出してしまう。ですので4年間は私の我慢でもあるのですが、過干渉せず、息子がしっかりと独り立ちできる4年間になったらいいなと思います。現実は、まだやりたいことも見つかっていなくて、漠然とした「大学に行く」ですけど、漠然と入ったとしても、大学を卒業したら社会人にはならなくてはいけないわけですから、その4年間を大事に、いろいろな経験をして自分のしたいことを見つける時間にしてもらいたいです。
金子さん:
やっぱり私も過干渉、過保護になってしまう自分がいます。わが家は一人っ子なのでどうしてもそうなってしまってきました。けれども、私が先回りしてなんでもしてあげていては、何も自分で考えてできない子になってしまうので、娘が独り立ちするためにも、黙って見守ることの大切さを今ひしひしと痛感しています。娘にやりたいことを一つでもいいので見つけてもらって、それを社会に出たときに役立てるような人間になってもらいたいと思います。大学にはそういう人間になるためのサポートを期待しています。
園田さん:
本人が選んだ大学なら頑張れと応援するしかないです。ただ、大学へ行くんだったらちゃんと勉強してきてほしいとは思います。私の世代というのもあるかもしれませんが、もっとやっておけばよかった、ちゃんと勉強しておけばよかった、って後から思うんですよね。もう一回、大学に行きたいと思っているぐらい、もったいない学生時代の過ごし方をしたな、と。自分自身はちゃんと認識していなかったのですが、親は奨学金を借りてくれていて、そこまでして通わせてもらった。しかもわりと専門的な学科だったのに、今思い出そうと思っても出てこないんですよ。もっときちんと勉強しておけばよかったな、と思っているので、娘にはまずは自分が学びたいことを選んで欲しいということと、選んで入った大学ならばちゃんと勉強しておいでね、ということを思います。
園田さん:
私自身、大学時代は一人暮らしをしたかったんですが、女の子ということもあって親に反対されて、2時間ぐらいの距離を通っていました。なので、一人暮らしをしたいと言い出したら、させてあげようと思っています。それに遠方のところを選んだら、もうしょうがないですよね。うちは子どもが3人いるのでスペース的に手狭というのもありますし、乗り物酔いもしやすい子なので場所や本人の希望次第ですが一人暮らしさせたいと思っています。ただ、実際に一人暮らしをしたら、大丈夫かなという心配はあります。一人暮らしするとしたら家は一緒に選ぶとは思いますが、寮に住んでくれたらちょっと安心ですよね。
神谷さん:
東京の大学なら家からの通いになると思いますが、息子は英語科で、海外の大学もあり得るのでその場合は一人暮らしですね。男の子なので、そんなに心配はないですけれど、それでも外国だと習慣が違いますし、日本で当たり前が、当たり前じゃなくなりますよね。ホームステイとかならまだ安心ですけど、ちょっと質の悪いシェアハウスとかに入っちゃったら怖いなとは思います。
佐知さん:
今入っているのは、学資保険と医療保険。あと、息子はサッカーでも、どこでも自転車に乗っていくので、自転車の損害保険に入っています。一度、息子が自転車同士でぶつかったことがあって、こちらに非はなかったのですがパトカーも来たりして青ざめた経験がありました。
加藤さん:
生まれてすぐに学資保険に入りました。息子は小さい頃からから英語が好きで、中学1年生の時にホームステイに行きたいと言うので、夏休みに4週間アメリカに行かせたんですけれども、留学に限らず何かやりたいと言われた時にやらせてあげたいと思うので学資保険は大事かと思います。
神谷さん:
私も生まれた時に医療保険と、学資保険に入っているのと、私自身に何かあった時にお金がおりる保険ですかね。あとは病気になっても収入を保障してくれる収入保険というものにも入っています。
金子さん:
私も医療系と学資保険に。あと、私が何かあった時におりる保険にも入っています。
園田さん:
家の保険で子どもの自転車保険をカバーしているので、子ども自身はこれまで何にも加入したことはありません。東京は中学生までは医療費がかからないので、医療保険は入っていませんでした。もちろん、本当に何かあったときには入院代とか、いろいろかかることは認識しているんですけど、それも親が二人とも働いているので、高額医療がかかれば高額医療費で何割か戻ってくるというのもあって、そこは認識した上で入っていませんでした。ただ、そういえば高校生は医療費が普通にかかるなということを今になって気づきまして、医療保険については、入らなきゃと思っているところです。
佐知さん:
子どものことでいろいろな迷いがありますが、迷うことがいけないのではなく、迷っているからこそ気づけることもあるんだということが、皆さんのお話を聞いていてわかりました。少しずつでも進んで行けたらと思います。
神谷さん:
大人同士で子どもの進路について話し合える機会はそんなにないので、みなさんのお話を伺えて勉強になります。気持ちがもやもやすることもありますが、それを子どもにぶつけるのではなく、こうしてお母さん同士で話すことが必要なのかな、と。互いの悩みをぶつけ合うことで結構発散にもなるし、解決の糸口が見つかることもあるのかなと思いました。
金子さん:
こういう機会がないと、皆さんの意見を知ることもできなかったし、すごく身になるお話を聞かせていただけました。ありがとうございました。