地域生協での実践事例

ここでは、協同組合とSDGsの関係と地域生協の実践例を書いています。
協同組合にはまだまだ可能性が秘められています。それを地域生協の実践例を見ていくことによって、協同組合にかかわる私たちに何ができるのかを考えていきます。

協同組合とSDGsの関係について

協同組合とSDGs
~ どんな関係があるの? ~

協同組合の精神には、「一人は万人のために、万人は一人のために」というものがあります。日々の不安や将来の心配がある中、様々な諸問題をみんなで解決していくというものです。また、SDGsには「誰一人取り残さない」という行動理念があります。これは、現在社会で起きている諸問題に対してみんなで解決を目指していくというものです。このように、SDGsの中には、協同組合の思想が散りばめられています。

また、協同組合は「お金の結びつきではなく、人的にも結びついた」組織です。協同組合の組合員は、自ら出資・利用・運営をしていることから自らのコミュニティの課題に対して無関心でいられません。それが協同組合の価値とも言えます。SDGsに置き換えて考えると、自分たちが生活している地域(コミュニティ)の一員として諸問題を自分たちの手で解決していくことが求められます。

これらの点を見ると、協同組合とSDGsには共通している点があるといえます。

協同組合が秘めている可能性
~ 一体何ができるのか ~

2016年に「協同組合の思想と実践」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。これは、協同し、参加して社会的課題を解決するという仕組みが国際的に評価されたということです。国内においても、協同組合への期待が高まっています。日本政府は2019年のSDGs実施指針の改定に、協同組合をはじめ、地域住民が共助の精神で参加する公共的な活動を担う民間主体が、各地域の様々な課題解決へ向けて、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築き、地域の絆を再生し、SDGsへ貢献していくことが期待されるといわれています。

このように協同組合は新しい公共として位置づけられています

協同組合が目指しているものとSDGsがめざす社会には大きく重なる部分があります。そこで、1つの協同組合が1つの目標だけを達成しようとするのではなく、より多くの協同組合同士の協同によって、より多くの目的を達成していくことが求められます。

地域生協での実践例を知ろう!

大阪いずみ市民生活協同組合
~SDGsへの取り組み方針の策定~

大阪いずみ市民生協は、2017年に「SDGsへの取り組み方針」を策定しました。方針の中では、同生協グループの組織・事業の特性と、地域や組合員の抱える社会課題の観点から優先的に取り組む優先課題を設定し、達成に向けた目標設定と年度ごとの振り返りを行っています。

優先課題のひとつであるエシカル消費については、店舗でエシカル商品が目立つよう陳列したり、紙製ストローに切り替えたりして、2018年度のエシカル消費対応商品の取り扱い品目数は前年度比128.7%、供給高は106.7%に増加しました。また、生協の食品と資源ごみのリサイクルの流れを学ぶ「エコ・バスツアー」も実施しています。

泉州北エリア委員会では、まずはコープ委員自身が日頃の生活の中でSDGsへの関心を高めました。そして、多くの組合員に気軽にSDGsを知ってもらおうと、想いがこもったオリジナルかるたを作成しました。

いばらきコープ生活協同組合
~ほぺたん食堂がつくるコミュニティ~

「ほぺたん食堂」は、いばらきコープが2016年に始めた、全国初の生協による子ども食堂です。同生協は、食育教室を実施する中で気づいた子どもの食生活の現状と、地域には一人暮らしの高齢者が多いことから、「地域のみんなで食卓を囲む居場所づくり」に向けてこの取り組みを始めました。市の社会福祉協議会と共催しているほか、地元JAが食材を無償で提供し、地域住民や近隣の学生などのボランティアと組合員が運営に協力するなど、様々な人との連携によって実現しています。

地域の子どもたちに温かい夕食を提供するとともに、勉強もできるような安心して過ごせる居場所づくりを目指して始めたこの取り組みは、多様な人々が交流する中で、「地域の共食」「地域コミュニティの再生」といった、当初は想定していなかった成果にもつながってきています。