法政大弓削ゼミ 座談会SDGsと大学教育~誰一人取り残さない~

世間でのSDGsの波及

そういった風に学んでいると思うが、ゼミ以外で、生活している範囲の中、法政大学の中、身の回りでSDGsが意識されているなと感じる場面はあったりしますか?

3年生なんですけど、そろそろインターンとか始まるので企業を見ている。そこで企業理念とか見るとSDGsを出している企業もいて、どこの企業インターンに行こうかなと見ているとき、SDGsへの貢献は軸に見ている。

私も電車やバスで広告があって、その中にSDGsの目標があって、私たちはSDGsに向けてこうしていますという広告を見るようになった。社会の中の姿勢として感じるようになった。いろんな授業を受けていても、SDGsを耳にすることが増えてきた。他の違う学部のゼミでも国際政治学科ではなくてもSDGsを取り上げていたり、普及されてきた感じはある。

先生としても周りの雰囲気としては出てきていると感じますか?

一つ大きかったのは3月1日のシンポジウムのもとになったSDGsへの取り組みについての総長ステイトメント。総長自身が法政大学ならではの貢献をこれまでの動きにプラスして実施していくという内容であって、どのように貢献するかということを書いている。具体的に総長自身がステイトメントでSDGsへの貢献としてやりますと発表したのが大きい。そういう意味では今までSDGsと大学教育に特化したシンポジウムもステイトメントもなかったが、今までの法政大学でやってきている国際インターンシップ、国際ボランティアは他のNGOと提携してやっていて、そこにも力を入れている。SDGsをプロモーションするためにやっているわけではないが、学生が書く報告書にグローバル人材についてどう考えるかとか、国際協力活動の体験に力を入れ続けている。学生が自分で開拓しなくても法政大学が提携したきちんとした組織を通じてインターンとして途上国に行けたり、難民キャンプに行けたり、体験型に力を入れることで、学生は実際に現場体験を深められている。SDGsは広がってきている。私が担当している国際協力講座、グローバルガバナンスなどの授業でも、SDGsについて伝えている。オムニバス方式の国際協力講座には、政府やNGOなどいろいろな組織の人が来てくださり、話す内容にはSDGsが必ず入っている。NGOでも、難民を支援する組織でも、JICAの人でもそう。授業では、最初に「SDGsのことを知っている人?」と聞くと、かなり手が上がる。MDGsではあまり手が上がらなかったが、SDGsが2015年に採択されてから、知る人が毎年どんどん増えている気がする。そういう意味では先ほど話があったように授業だけでなく国際問題などを話すときにもSDGsが出てきて、学生もいろいろな場で学んでいるんだなと感じる。リアクションペーパーでもSDGsのことを何回か聞いたけど、理解が深まったという学生が増えている。浸透しているのを感じる。

中身や仕組み、プログラムでも浸透しているということですね。

総長が言っているように、組織としてそうなってきている。

大学生・大学への期待

大学やみなさん大学生も、企業やNPOやNGO団体も、ステークホルダーになっている。大学も大学生もそれを実行する立場として認識として広がってきている印象。これからだと思うが、まだまだ進み切れない部分もあると思う。手があがっていない人がいるとか、あまり知らないとか。SDGsがこれからもっと達成されていくうえでもっと大学や大学生が貢献できるなとか、課題だとか、逆に伸びしろだと思う部分について、ゼミで学んでいることと私生活でのギャップから、感じたりすることはありますか?SDGsを学んでいる立場としてどう思っていますか。

学生という身分でできることは大きなことはないと思う。フェアトレードとかも学ぶので、例えば商品を買うときに、フェアトレードの視点をもって買ってみるとか。リサイクルで言えば簡単なことですが、ペットボトルのキャップは分けて捨てるとか。本当に小さいことですけど。そういうことはできるかなと思っている。

同じように大学生一人一人ができることは本当に小さいが、そういう関心が一人一人に集まらないと達成できないと思う。小さいことでも大きなことになる。あと就活が始まるので、就活生として将来国際開発に貢献できるような仕事がしたいと思っている。職を選ぶときもCSVをやっている企業を意識的に見て、就職先に選ぶということをみんながしなきゃいけないわけではないが、そういうこともできると思っている。

先生はどうでしょう。

やっぱり国際開発というと、遠くの国のことだと思ってしまう人が多い。そうではなくて先進国も含めて全部の国が取り組む課題。政府だけがやるということじゃなくて、自分事として、一人一人に役割があるし、それを仲間に広げてやっていくということが大事。知らない人に話すということも含めて。先ほど話したゼミの初回と2回目にSDGsを話すときに、役割という観点で、国連、日本それぞれの役割は何か。自分として一人一人の役割は何かを自分事として捉えるべきだし、みんなが協力しないと達成されない。政府がやる他人事ではなくて、あなたたち一人一人がアクションをとれることがある。SDGsを自分事として捉えるというスタンスとして、今できることがあると思う、自分ができることを考えてくださいと話している。じわじわと広がっていると思うし、さっきも出た就職説明会で、どのくらいSDGsに関する話が出るかとか学生が前より注意して見ているなと感じる。前はCSRですけど、今はCSVに変わってきている。前よりSDGsを意識して考えるということが広まっている。SDGsが広まって自分が何をするか、自分が働きたい仕事ということでもそれをしっかり見ている。もっとそうなれば会社だって「ただやってます」だけではなく、しっかりとやらなくちゃと思うだろうし、世界も変わってくる。「うちは水のことについてやってます」というように、タグ付けだけではしょうがなくて、実際に何をして社会や世界の課題解決に関わるのか。ちゃんとやっている組織にはたくさん学生が応募する、やっていない組織は将来性を考えて学生が来ないとなってくると、だんだん社会も変わってくるはず。そこは重要だし、変わってきたと思う。