CASE 7

改良を重ねながら、
より面白い授業を組み立てていきたい!

首都大学東京
水越 康介教授



聞き手:大学生協東京事業連合 森川佳則

──今回大学生協のDECSのしくみを使おうと思った理由、もしくは電子の教科書を使おうと思った経過などをお教えください。

水越

まず今回電子書籍を使った理由なんですけれども、もともと電子書籍が広がってきていたというのは知っていたのですけれどもなかなか教科書として利用する機会というのはなかったんですね。
ところが今回、生協さんの中でアプリケーションとして利用できるということを伺いましたので、これであれば学生さんたちも、買いやすいですし利用しやすいのではないかなと思ったのがひとつ大きな点でした。
それからもうひとつは僕自身の興味としまして電子書籍になると今までの教科書とは違うようなできるだろうという期待がありましたので、試しにやってみようというのが最初の大きなきっかけでした。

──ご採用いただいた教科書ですが、先生のご著書だと伺っております。こちらの方の書名・出版社名などをお教えいただければと思います。

水越

今回使用した書籍は僕自身が書いたものではありますけれども、2018年に新版として出したのですが、『マーケティングをつかむ』新版という本になります。
著者は共著でして、僕自身とそれから青山学院大学の黒岩先生と、一緒に書いたものになります。

──教科書をつくるうえで、反転学習を意識しましたか?

水越

今回の書籍では、特にケーススタディーというものを最初に取り上げることによって、そのケーススタディーについて、学生が事前に読んで考えてきて授業に参加することができるようになっています。
(今回)電子書籍を準備したわけですけれども、学生が予習するという意味で、非常に意味のある、やりやすい課題を教科書の中に設定しているということになるのかなと思います。

──実際の授業の準備等で困ったこと等はございましたでしょうか?

水越

電子書籍の授業になったので、どんな感じで授業をすればいいのか等少し悩むところがありました。特に最初にパワーポイントを準備しましたが、最初の段階で結果的にこれを使わなくても、電子書籍の画面に掲載すれば良いという変更がありました。
その上で、電子書籍を中心にした画面に投影した状態で、授業をどんなふうにすれば良いかは、そこから試行錯誤で考えるという感じになりました。

──教科書だけではなくて講義資料も配信する中で、より学生さんに他の学生さんの姿から教科書に戻って興味を持続するという工夫をされたと伺っているのですが、そのあたりについてもお教えください。

水越

事前に課題を出していましたので、その課題について事前に提出してもらうという形をとっていました。
その事前に提出してもらった課題について、後日全員に対してどんな課題に対する答えを出したのかということを、全員にフィードバックするという形をとりました。
それを見てもらうことによって、予習だけではなく、授業が終わった後に復習という形で、どんな感じで他の学生がどんな答案をしたのかというところをわかってもらえるのかなと思いました。
またそれをベースにして更に教科書にもう一度戻ってもらってどんなことが書かれていたのかというところを確認してもらえればいいなというふうに思っていた次第です。

──今回のご採用では、メインで電子か、紙+電子のハイブリッドという形をご採用していただきましたが、その形で紙と電子のお互いの良さ、お互い使いやすいところを学生の皆さんは、選んで使ったというところでしょうか。

水越

電子書籍の中で、電子書籍と紙を両方買ったという方もいらっしゃいますので、使い分けが非常にいろいろと行われたのかなと思っていまして、後でインタビューしたところ、意外に家で電子書籍を利用したという学生がいたということと、逆に大学では、授業では紙書籍を使って授業を受けたという方がいたようで、ここのあたりは当初の予定とは少し違っていたのですけれど、新しい発見だったなというふうに思っております。

──今後先生が取り組まれる授業で、こうしていきたいであるとか、別の授業でこうしたいとか抱負をお聞かせいただけると嬉しいです。

水越

今後も電子書籍の方を引き続き、使っていきたいなというふうに思っております。
特に今回の授業では、教員の側からの書き込みなどについては、あまり行わなかったということがあるんですけれども、これ以降はもう少し僕の方からも書き込みの量を増やして、事前に読んでおいてもらいたいところですとか、 確認しておいてもらいたいことを教科書の中に埋め込んでおくということをしたいなと思っておりまして、学生の方には、予習としてその埋め込んだところを見てもらって、追加で何かリンク先を調べるとか、調査をするということをしてもらう…こういった授業をしたいなというふうに思っています。
まさしくトライアンドエラーになると思うのですけれど、新しいことをしながらそれがうまくいくのかどうかというのを、授業中の中で確認していきたいと思っております。
特に今回の電子書籍の授業では、たくさんの方に協力していただきました。生協さんはもちろんですけれども、出版社の有斐閣さんにもご協力いただきまして、実際に授業にも来ていただいて、どんな風な授業が行われているのか確認してもらい、その授業の中で何ができるのかというところについてアドバイスを頂くという機会もありました。
それから学生の方々にもインタビューですとか、アンケートをとりながら、どういった授業が面白いものになるのかというところを、確認してもらったというところがあります。そういう意味で、たくさんの方ですとか、たくさんの企業の方に協力いただいて、電子書籍の在り方を考えているというところだと思います。

水越 康介(みずこし こうすけ)

神戸大学大学院 経営学研究科 博士後期課程 修了 博士(商学)
首都大学東京 経済経営学部 経済経営学科 経済学コース・経営学コース 経営学研究科 経営学専攻
【専門・研究分野】マーケティング
【学会】日本商業学会・マーケティング学会