学生の生活リスク講座
2024年2月の開催報告を掲載しています
2024年度 第1回 学生の生活リスク講座 開催報告
「お金、使いこなせてますか?」


日時: | 2024年2月23日(金)17:30~19:30 |
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形式: | オンライン(Zoom) |
参加者: | 学生:18名(北海道教育大1、宮城大1、弘前大1、岩手大1、山形大1、岐阜大2、大阪樟蔭女子大1、大学生協連学生役員 10名) 大学教員:4名 三菱総研:4名 生協職員:11名 |
【1】主催者あいさつ
米山 高生 氏(全国大学生協連 副会長理事)

本日の開会にあたってご挨拶をいただきました。
実生活のリスクはたくさんあり、学生が実践からリスクを学ぶのは大変意味があることです。今回のテーマ「お金」ということで、「学ぶことはたくさんありますので、こうした機会を利用して様座な知見を身に付けていただきたい」とお話しいただきました。
【2】講義①「お金とつきあうリスクリテラシー」
奈良 由美子 氏(放送大学教授)

リスクには「beingのリスク」(生きているだけでも被る可能性のあるリスク…自然災害、病気、交通事故など)と、「doingのリスク:選択し行動することで被る可能性のあるリスク(SNS 上のリスク、アルバイトのリスクなど)があることをまずご説明いただきました。
そして2015年から行われている「学生の生活リスク講座」の歴史と意義について触れていただきました。
今回の講座のテーマである「お金」との関係では、お金とのつき合い方に正解はないことから、「じぶんにとって大切なもの」(自分の価値観)を見極めること、そのうえで、お金とどうつき合うかを主体的に選択することが大切であり、そのためには、まず、お金についての情報・知識を持っておくことが必要とお話しいただきました。
【3】講義② 「大学生のおカネ事情」
大藪 千穂 氏(岐阜大学・副学長、日本消費者教育学会会長)

大藪先生にはユーモアを交えて楽しくお話しいただきました。
冒頭に現在は金融教育が始まった時代でマネーリスクを知らなくてはいけないなかで、一方で高校の先生も金融教育を受けていない状況があることなどお話しいただきました。また大学生協連の行っている「学生生活実態調査」のデータも触れていただきながら、先生の大学やゼミ生の実態と織り交ぜて、とてもリアルな学生の状況をお話しいただきました。またアルバイトについても触れていただきました。最後に先生が実際に大学で行っているワークについて提起いただきました。
【4】ワークショップ① 「家計費を見直そう!」
まず、学生に参加者に自分の家計を Google Formに入力していただき、合計数値についてグラフに映し出し、全体で確認をしました。
次にブレイクアウトセッションで小グループに分かれ、自分で記入した家計簿をメンバーに紹介しあいました。学生のほとんどがこうした家計簿をつけた経験がなく、自分の生活との関係でお金がどう関わっているのかわかる機会になりました。
【5】ワークショップ②「人生設計ゲームによるワークライフ・シミュレーション」

大藪先生が共同開発された「人生設計ゲーム」をグループでやりました。ゲームは10年間ずつ平均寿命まで、年収から生活費を引き、結婚、出産、車、家、旅行などを選択しながら生活をシミュレーションします。ゲームを楽しみながら、自分の実際の人生だったらどんな決断をする必要があるんだろう?~ライフプランの設計をそれほど考えてなかった参加者もいろいろ自分のライフプラン考えるきっかけになったようです。

<学生の杉山くん(司会)のグループワークの感想>
なかなか自分の人生について、イメージを持ててない人も、自分の遺産相続や、人生のエンディングまで考えてる人もいました。ゲームをするなかで大切なのは、自分の価値観を確認し、納得するお金の使い方を能動的にすることなんだなと思いました。ほかの仲間ともまたこのゲームをやってみたいと思いました。
【6】大藪 先生ご講評
「人生設計ゲーム」は一人でやるのもいいけれど、今日のようにみんなでそれぞれの人生について、「この金額があるからこれが買えるよ」とかアドバイスをしあったり、ワイワイやりながら、いろんな人生の選択を考えられる交流になったのが良かったと思います。
また、お金を勉強すると、お金を使わないのがいいんだと考えがちで、トイレを一回しか流さないようにする(笑)とか極端な節約を考えてしまい、実際にはできないことも考えてします。
大切のは参加者の皆さんからも出ていましたが、自分の価値観ですね。ディズニーランドに行くために、すべてを我慢しようという人もいればそうでない人もいます。価値観は人それぞれです。
自分の1週間、1か月、1年をどう生活しようか、自分がどうして生きていくのかをいろんな情報を取り入れて考えていってください。皆さんが幸せな人生を送るのにお金が役に立つことを願って…。
【参加者の感想から】
- こんなにお金がかかるんだ!と意外に感じる場面が多く、人生においてどこでお金を使うことになるのか少しイメージをすることができました。(学生)
- 家計簿の質を上げようと思いました。というのも今まではアルバイト代と生活費という単純な収支しか見てこなかったのですが、貯金や住居費、所得など社会人になるときにはもっと考えなければならない部分が増えると思ったからです。(学生)
- 今までは親の仕送りもあったため自由に過ごしていましたが、これからは独り立ちするためもう少し、自分のお金の使い方に目を向けようと思いました。(学生)
- 奨学金返済と子ども関連の費用が重なるということにハッとしました。自分ひとりのイメージばかり抱いていたので、将来的に結婚・子どもを見据えた感覚をもてていなかったと気づきました。就職活動の時期なので、そういったお金の面にも目を向けて、よりよい生活となるようにしていきたいと思いました。(学生)
- いかに自分がお金と向き合っていなかったのかを実感することができました。これからは一人で独立しながらお金のやり繰りや支払いなどもしないといけないので、「どのような出費が多いのか」「どこで出費を抑えられるのか」ということを考えていかないといけないと思いました。学生時代から自炊は頑張っていたので、その経験は今後も続けていきたいと思います。(学生)
- 私は大学生時に1種の無利子奨学金を借りており、卒業後毎月13万を15年、最終16年目は21万の返済予定でしたが、結婚時に前倒しで返済しました。無利子なのでゆっくり返そうと思いましたが、低金利だったので、返済金額の減額の方がメリットがあると思い、返済繰り上げを選びました。返済方法のことも卒業前までに勉強すると良いですね。(社会人)