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女子留学生の日常

任 可欣 REN KEXIN東北大学  
任 可欣 REN KEXIN

誰でもある、留学生活の成長史

深夜1時36分、ミルクを飲んで寝る準備をしているパンちゃん。ベッドは床の上に適当に置いている薄くて安いマットレス、布団は先日晴れの日に干したばかりなのに、湿気のせいで全然爽やかと感じません。横になっているパンちゃんはスマホで一日中のニュースを見て、だんだん眠くなりました。寝る前に最後に考えたのは、「ああ、明日のバイト9時出勤だ。もう5時間しか眠れない」

憧れの国、日本へ

パンちゃん、23歳、中国の都会の町の出身。小学生時代から日本のアニメが大好きなので、日本語の勉強を始めました。語学に多少天才があるもので、高校2年の時に日本語能力試験N1級合格できました。嬉しすぎるパンちゃんは日本留学を決意しました。

両親との相談、日本の大学の情報収集、日本語と同時に他の受験科目の勉強、出国手続きの処理…1年後、パンちゃんは一人で飛行機に乗って、日本に来ました。

夢の国にやっと来ました。パンちゃんはすべてのことに興味津々でした。「日本の道路は中国と逆だ!」、「ゴミも分類しなければならないんだ!」、「日本のマクドナルドは見たこともないメニューがいっぱい!」と、毎日は新鮮と好奇と共に過ごしました。

一方、初めての一人暮らし、難しいこともたくさんありました。母国で何年も日本語を勉強したのに、実際に喋る時はうまく話せません。在留資格、携帯電話、銀行のキャッシュカードなどの手続きはすべて自分でしなければなりません。自分で通学して、食事して、帰宅して、毎日同じことを繰り返しました。それでも、日本にいればいるほど、パンちゃんはここをもっと好きになりました。どうしてもここで長く暮らしたい気持ちで、勉強を頑張りました。2年後、パンちゃんは理想の大学に合格できました。

新入留学生植物園散策会
新入留学生植物園散策会

アルバイトで大きく成長

ドキドキの気分で大学に入学したパンちゃんは、また新しい環境に入りました。部屋を探して、入学金と授業料を払ったら、口座にもう10万円程度しか残りませんでした。両親にさらに負担をかけたくないパンちゃんはアルバイトを探し始めました。

大学の面接は何を重視するでしょう? 恐らく学生の知識、根性、研究に対する情熱とこの学校に入りたい気持ちでしょう。ただし、アルバイトは違います。この人が従業員になったら、その給料と相応しい仕事ができるかどうか判断の基準になります。パンちゃんは多くの留学生たちと同じように何軒の店にも断られた後、やっと最初のアルバイト先が見つかりました。

それは留学生も簡単にできるコンビニのアルバイトでした。品出し、レジ業務、店舗の掃除など簡単な内容で、給料もより低めでした。唯一のメリットは賞味期限切れの弁当を持ち帰りできます。ここのアルバイトを1年ぐらい続けて、パンちゃんは考えました。確かに慣れている仕事をするのは楽だけど、ずっとこのままじゃ自分の能力は絶対伸びません。自分の日本語にも、コミュニケーション力にも役に立つアルバイトをしたいです。

それで、2年生のパンちゃんは友達の紹介で、派遣会社に登録しました。アルバイトは電器屋さんの販売スタッフになりました。商品の知識を勉強する上に、お客様に紹介することによって、パンちゃんの日本語は大きく進歩しました。もともと学校にいる時、自分の日本語に自信がなくて、さらに語言学院に通ったことで周りの同級生より年上のせいで、普段はほかの学生とあまりしゃべりません。ただし、このアルバイトで自分が成長できたと思うパンちゃんは自信を付けました。日本の友達もできるようになって、学校の活動もよく参加できるようになりました。学業、アルバイト、課外活動、日々バランスを取って学生生活を送るパンちゃんは疲れるけど、非常に充実で満足しています。

弱い花から強い女性へ

もちろん家族のことを会いたいと思う時があります。パンちゃんは年1回ぐらい帰国して、母国で1カ月程度過ごします。家族といろいろ喋ったり、友達と会って遊びに行ったり、非常にリラックスできる時間を過ごします。時々はこんな生活にはまって、日本での忙しい生活に戻りたくないと思うけれども、やはり自分の将来のために、日本での生活がとても大事だと判断して、泣きながら飛行機に乗って、一人の冒険を続けました。

パンちゃんはわかっています。日本に来なかったら、自分はいつも家族に守られているプリンセスで、きれいだけど弱いかもしれません。ただし、日本留学の経験によって、自分は立派な大人に成長できました。問題がある時、まず自力で解決策を考えるようになりました。不足がある時、状況に負けずに頑張ることができるようになりました。この5年間は無駄ではないと言えるようになりました。弱い花から、強い女性になりました。

早朝5時18分、パンちゃんはまだ深く眠っています。いい夢を見ています。日本にいるのに、スーパーの中で売っている商品はすべて中国の商品になっています。さらに、値段も中国の値段と一緒です。夢の中のパンちゃんはかごに入らないほど買い物しました。好きなお菓子、実家名産の麺類、可愛くて安いアクセサリー…。
 朝7時、アラームが鳴って、パンちゃんが目覚めて、このすべてが夢とわかりました。実家についての思いが湧き上がって、一瞬で寂しさと悲しさが心の中にいっぱいになりました。ただし、5分後、彼女は自分の気分を片付けて、朝シャワーして、元気満々でこの新しい一日を迎えます。

パンちゃんは誰でしょう。私かも、あなたかも。……ただの一人の普通の、女子留学生でした。

※この文章に登場した人物の名前は架空のものです。

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『Campus Life vol.49』より転載