学生・院生からのおすすめ本

『近代日本一五〇年ーー科学技術総力体制の破綻』著:山本義隆 出版社:岩波新書

北海道大学大学院総合化学院
佐藤 昂汰

表紙

『近代日本一五〇年ーー科学技術総力体制の破綻』
著:山本義隆 
出版社:岩波新書

ISBN
9784004316954

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東大全共闘のトップを経験した学生運動の経験もありながら、駿台予備学校の名物物理講師としても活躍した著者が描いた、現在の科学技術・資本主義偏重社会へ警鐘を鳴らす本。

大学生・大学院生の本分は勉強、ひいては研究な訳ですが…。皆さんはどうして、研究をしているのでしょうか。
科学的興味、暮らしを豊かにするため、…。三者三様な意見が返ってくると思います。
いずれにせよ、研究は学問の発展のため、また人類の幸せのために行われるものだと考えられます。しかし、果たして現在に至るまでの科学的研究は本当にそう言えるのでしょうか。

本著は明治維新から公害問題、原発事故に至るまで、日本社会の国家体制の側面や科学史などの側面から、日本における科学体制の課題を巧みに描き出しています。
勿論内容に賛否両論はあると思いますし、私自身も思うところはありますが、日本の科学・近代化を見る視点を加える意味で一読する価値は十二分です。
私自身もこれを読んで、様々な体制の思惑がある中で、それでも自身の良心に従って真理を追究していくことの重要性を具体的に認識できたと思います。

読み応えのある本ではありますが、是非特にこれから社会へ出る大学生や専門を究める大学院生におススメしたい一冊です。

北海道大学大学院総合化学院 佐藤 昂汰

表紙