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2024.3.12 更新

『機械学習入門』著:大関真之 出版社:オーム社

名古屋工業大学大学院
高山 拓夢

表紙

『機械学習入門』
著:大関真之
出版社:オーム社

ISBN
9784274219986

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「鏡よ、鏡、鏡さん、世界で一番美しいのは誰?」。こんな冒頭文から始まる本が、まさかAI(人工知能)に関する学術書だとは思わないでしょう。この本では、AIの最重要技術と言って過言では無い「機械学習」に関して解説しています。機械学習とは、「あるタスクとそれを解く性能を、手元のデータから学習することで向上させる」技術です。具体例として、「明日の売り上げを予測するために(タスク)、過去の売り上げを基に(データから学習)、実際に明日の売り上げを推定する(性能向上)」が挙げられます。さて、「データ」という単語から推察される通り、この技術の土台は「数学」です。しかも、理系大学レベルの数学が必要になるため、これまで「数学はそんなに、、」という方のAI技術の学習は、ハードルが高いものだったはずでしょう。そんな方に朗報です。この本、数式がありません。一切出てきません。それにも拘わらず、機械学習の仕組みが非常にしっかりと記述されています。学習コストの高い「数学」を上手く回避しつつ、最短経路で「機械学習」の基礎的な原理を学べる良書です。さらに、ハードルを下げるという観点では、「お妃さま」と「喋る鏡」の2人の登場人物による対話形式の文章であること(冒頭文が「鏡よ、鏡、、」なのはこのためです)、直感的な理解を促す「図」が多用されていることなど、様々な点で工夫がなされています。しっかり学ぶという観点でも、著者の専門分野である「統計物理学」の知見から記載されたコラムは、専門的に見て学びが多いです。学部から博士課程までの6年間にわたり「機械学習」の研究をしている私もオススメの本です。チャットボット、画像生成、自動運転など今尚進展が目覚ましいAI技術、この本を足がかりに学んでみませんか?

名古屋工業大学大学院 高山 拓夢

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