読書推進

同志社生協 大学生が自ら成し遂げたい事を考えながら生み出した 『大学生のためのドラッカー』

私と『大ドラ』との出会い


学生さんの作ったPOP


4月には新入生向けにも提案しています


就職書のコーナーで面陳列展開

2011年11月下旬に同志社女子大学の学生である小林桃子さんが同志社生協京田辺書籍を訪れました「自分たちが創った本を置いてほしい」と。

本のタイトルは『大学生のためのドラッカー』(通称『大ドラ』)。版元はリーダースノート。あまり聞かない出版社なので、最初は正直「売れるのかなぁ」と思いました。しかし、小林さんの話を伺ってそんな不安は消えてしまいました。

小林さんは龍谷大学の自主的な勉強会「みどり勉強会」に参加しており、勉強会の中心である龍谷大学OBの松本健太郎さんがドラッカーの言葉を通してレジュメで何回か講義をされていました。小林さんにとっては、勉強会で学んだ内容は「今の自分は大学生活をどう送っていきたいのか」という事を考え直すのにとてもよい機会になったそうです。そこで、多くの人にも同じように考えるきっかけになり行動してもらいたいと思 い、勉強会の内容を本にまとめて出版したいと考えたそうです。松本さんの了解を得て、勉強会で学んだ「成し遂げたいことを形にする=『大ドラ』を出版する」ということを目標設定し、出版社回りから始まって社会と触れ合う場面も経験しながら創った本だというのです。直感的にこの本の背景にはストーリー性があると感じました。

大学生活と『大ドラ』はリンクする

話を聞いて私が強い印象を受けたのは、「この本を読んで私たちはこの本を創りました」とう言葉でした。それで、ちょうど就活シーズンであったことや、12年新学期も近かったので、試しに「大学生活編」「就職活動編」を各10冊発注しました。12月上旬発売だったと思いますが、「大学生活編」は入荷後すぐに5~6冊利用があったので、やはりこの本には何かあると確信し、かかわっている学生や著者である松本さんに 話を伺いたいと思いました。

実際に、松本さんと2回ほどお話をさせていただくと、大学生協でも新学期に展開している「何を実現したくて大学に入ったのか」といったセミナーや企画などと、導入部分は同じだと感じました。

大学生協のやっていることと『大ドラ』はリンクすると思ったので、「この本を大学内にある大学生協書籍部で一番売りたい。組合員に買って読んでほしい」と考えるようになりました。実際に就職書の棚と新刊コーナーの2カ所に面陳列で展開しました。当初は「就職活動編」の方が時期的に動くと考えていましたが、1、2年生の多い同志社大学京田辺キャンパスでは、「大学生活編」の方が動きました。

結果、京都では龍谷大学生協に次ぐ販売実績になりました。また、京田辺書籍部で『大ドラ』を購入した、同志社大学2年生の阿部さんが『大ドラ』のスタッフになったという話も聞き、やはり提案してよかったと考えています。5月には、阿部さんを中心に京田辺書籍も協力して新入生向けに『大ドラ』のイベントをする予定です。

この機会に、多くの全国のキャリアアップや書籍にかかわられている生協職員の皆さんにこの本を知っていただければと思います。ぜひ、多くの大学生の皆さんに読んでいただければ幸いです。

朝日新聞デジタル

「大学生のためのドラッカー」公式ブログ

「大学生のためのドラッカー」FaceBook

(京田辺書籍部店長 武田 博輝)

『大学生のためのドラッカー』が出版できた理由

松本健太郎 氏(著者)

もともと『大学生のためのドラッカー』は、就職活動に苦しみ、学生団体の運営に悩む、僕の通う勉強会で出会った大学生のためだけに書いていた"修身の書"でした。

しかし、「僕はこの内容を読んで人生観が変わった。この経験を他の大学生にも味わって欲しい」と声を上げた今江さん(龍谷大学)の熱意に負けて、出版を許可し、勉強会内だけでなく全国の大学生にこの内容を知ってもらおうと、龍谷大学、同志社大学、同志社女子大学、京都産業大学の学生を中心に出版委員会が立ち上がりました。

大学生の熱意が周囲の大人たちを動かし、"たった半年"で出版に至ったのは、『大学生のためのドラッカー』を読んだ彼ら・彼女らが、まさに"知識"を"実践"し、"フィードバック"を繰り返したからだと考えています。その姿勢に、大人が根負けしたと言ってもいいでしょう。

大学生が本を読まなくなったと言われて久しいです。しかし、学んだ知識を活かす機会さえあれば、彼らは貪欲に学び続けるのです。

「大學之道、在明明徳」を実践した、彼ら・彼女らが生み出した2冊の本をぜひ手に取って読んでください。

自然に学びを得てきました

阿部充志さん 同志社大学2年

私が『大ドラ』に出会った理由は、一つのツイートからでした。大学での授業が終わり家で何の取り留めもなくtwitterをいつも通り見ていました。すると、一つのツイートを見つけました。それは、『大ドラ』イベントの集客のツイートでした。私は「暇だし行ってみようかなぁ」と簡単な気持ちで応募しました。それからイベントに参加し、松本さんの誘いを受けて大ドラの活動に参加しました。

これまでにイベントや、広報、集客などさまざまな経験をしました。今も新たなイベントに向けて全力で頑張っています。自分の"強み"を意識して行動し、時間を考えて、毎日行動しています。『大ドラ』で学んだことを自然に行うことができるようになりました。

これからは、もっと大学生の皆さんに『大ドラ』を知っていただくために頑張ろうと思っています。

大学生の力になる本

小林桃子さん 同志社女子大学3年

私たちは、『大ドラ』で学んだことを実践し、出版というかたちで成果を出しました。これまでの活動を通して、三つの大切なことに気がつくことができました。

一つは、自分の強みを生かすこと。人と比べるのではなく自分と向き合い、自分の強みを知り、それを生かすことでより良い成果を得ることができます。

二つ目に、継続すること。すぐに向き不向きを判断するのではなく、続けることで新たなアイディアや改善策が発見できることを学びました。

そして、最後に仲間の大切さです。誰にでも強みがあって、それを生かし、支えあうことで、不可能も可能にできることを実感しました。

『大ドラ』は、何かしたい、自分の夢や目標を叶えたいと考えている全国の大学生の力になることのできる本です!

『Campus Life vol.31』(2012年6月号)より転載