全国大学生協連
東海ブロック事務局長
石橋一郎
本の著者は国連平和維持活動(PKO)の幹部として東ティモールに赴任し、また日本政府の特別代表としてアフガニスタンにも赴任した紛争解決の専門家で、テレビにも出ている方です。その著者が、世界の現実を踏まえた「集団的自衛権」の本当の姿をわかりやすく解説してくれています。
これまでずっと「集団的自衛権」は日本の憲法に反するものと政府が説明していたのに、去年になって急に「憲法に反しない」と言い出した(解釈変更)のはなぜか?それは本当に憲法に反しないのか?「集団的自衛権」はどのような理由で必要といわれ出したのか(あるいはやはり不要なのか)を解説してくれています。
過去に集団的自衛権の具体例として、アフガニスタンでアメリカとNATOがタリバン政権打倒するまで続けた一連の軍事行動(OEF=不朽の自由作戦)の理由にしたことを挙げています。また古くは旧ソ連がアフガニスタンに侵攻したのも集団的自衛権を理由にしたものだそうで、この2つとも相手国の政権を倒してしまうまでが「自衛」の名目で行われていることが紹介されます。
この本のタイトルからは、戦争というのは相手国の人を殺しあって勝敗を決める行為だということを改めて考えされられます。また「守るのか」ではなく、「殺しに行くのか」にこの本で取り上げている集団的自衛権って何なのかをあらわしているのでしょう。 是非読んでいただきたい一冊です。
※所属・学年は企画当時(2015年)のものです。