「Campus Life」vol.76

良い知らせと悪い知らせ

全国大学生活協同組合連合会
武川 正吾 会長理事
(明治学院大学教授 / 東京大学名誉教授)

私はゼミの冒頭で、出席者全員から一週間のグッド・ニュースとバッド・ニュースを聞くことにしている。社会的な出来事に関心を持ってもらうという趣旨で始めたのだが、それだとすぐに思いつかない学生もいるので、途中からは個人的なニュースでもよいことにした。これによって引っ込み思案な学生も含めて、クラス全員が授業中に最低1回は発言することになる。

その体でいうと、今年の良い知らせは旅行が自由になったことである。昨年も三年ぶりに合宿を行うことができた。ただしそれは、大学から配られた抗原検査キットを用い、全員の陰性を確認することが実施の条件であった。教師が陽性だと合宿が台無しになってしまうので、出発当日の朝までヒヤヒヤしていたことを思い出す。これに対して今年の夏は、2019年と同程度に自由だった。

悪い知らせは今年の夏が例年にも増して「熱い夏」だったということである。熱中症による死者数は1000人を超えた。8月下旬に、札幌へ避暑も兼ねて集中講義に行ったのだが、当てが外れた。東京と同じかそれ以上に暑かった。小学校にエアコンを設置する動きが始まったというのが、滞在中のご当地ニュースだった。

COVID-19は数年前の悪いニュースの筆頭だったが、これも生態系が崩れてウイルスが野生動物からヒトへ感染した結果だと言われる。今年の猛暑は気候変動の一環である。大学生協は従来からSDGsにコミットしてきたが、2023年はSDGsをまさに肌で感じる年だった。

全国大学生活協同組合連合会
武川 正吾 会長理事
(明治学院大学教授 / 東京大学名誉教授)

「Campus Life vol.76 大学も、学生も、地域の力に支えられて」に寄せて

全国大学生協連
全国学生委員会
(2023年度)
中丸 雄也(山形大学卒)

私はコロナ禍前に大学に入学しましたが、2019年当時は「子ども食堂のボランティアをしてみませんか?」というチラシが郵便受けに入っていたことを記憶しています。大学生は「子どもたち」を支える立場でした。一方で、2020年以降は、「大学生」が支えられる立場へ変化していきました。山形大学生協では、地域生協の共立社さんから「カレールー、野菜うどん等」の食の支援をしていただきました。

さて、今回の特集では「大学も、学生も、地域の力に支えられて」というテーマで、北海道の特集が掲載されております。特集の中に、「今ではどうしたらみんなにとって居心地のいい空間になるか、考えながら活動するようになりました」という言葉があります。大学生はさまざまな人に支えられています。それと同時に大学生は誰かを支える立場にもなることができます。再び、山形大学のお話に戻りますが、一度、山形大学生協の専務理事の紹介で「キャンパス周辺振興会」の総会で学生生活についてお話しする機会がありました。地域の方も「キャンパスを中心に盛り上げていきたい!」と思っていらっしゃり、大学生の生活をよく聞いてくださいました。私たち大学生の生活は、大学の教職員や大学生協の役職員だけでなく、地域生協や地域団体、地域住民(子ども世代や保護者世代等)にも「大学」というキーワードをきっかけに、つながりを作り、支え合っているのだと考えさせられました。お互いの想いを大切に、お互いの活動が発展していくことを期待しています。

全国大学生協連
全国学生委員会(2023年度)中丸 雄也(山形大学卒)


バックナンバーはこちら