2014 アメリカ大学食堂視察 報告書

スタンフォード大学

【大学情報】

カリフォルニア州スタンフォードに本部を置く私立大学で 1891 年に設置された。「西海岸のハーバード」といわれるほど世界中から優秀な学生が集まる名門大学です。経済学、政治学、心理学が人気の専攻分野で、芸術、工学、外国語、社会学、数学、心理学など多くの分野で全米トップレベルを誇ります。
その一方、スポーツも強く、34 人の在学生・卒業生が 2000 年のシドニー・オリンピックに選手あるいはコーチとして参加しています。

学生数 約 18,000 名
学費年間 43,000 ドル
寮費&食費 14,000 ドル
入寮率約 60%

【環境】

キャンパスの広さは全米屈指で、その広さは 33 ㎢(甲子園球場 833 個分)。メインキャンパスの正面から向かって右半分には主に理科系の学部、左半分には主に文科系の学部が配置されています。

【組織の概要】

学内に 6 カ所の Dining Hall があり、小規模店舗は多数点在。訪問した施設は、Dining commons(ダイニング・コモンズ)。大学直営。大学の FS 供給規模は 41億 6,000万円(全米33位)

【ミールプラン】

回数方式。朝・昼・夕方それぞれに回数単位で購入するシステムです(UCSC とは異なるシステム)。

例:秋学期 85 日・週 19 回食事…2,016 ドル
例: 週 14 回食事+IC マネー155 ドル…2,016 ドル ミールを利用しない場合は、その分の費用を電子マネーにチャージし周辺店舗(panda EXP 等)で使用することができます。
カードは学生証と一体になっており、未使用分については払い戻しを実施しています。学生、教職員ともに回数方式は様々設定されている模様です。

〈説明を受けた学生のミールプラン・非ミールプラン価格〉
上段$、下段円'116円換算

  ミールプラン 非ミールプラン
朝食 $4.99 $9.00
\ 579 \ 1,044
昼食 $8.99 $15.00
\ 1,043 \ 1,740
夕食 $9.99 $18.00
\ 1,159 \ 2,088

〈教職員用ミールプラン〉
※Dining commons ポスター掲示

  best value
25meal BLOCK
10meal BLOCK 5meal BLOCK without MEAL BLOCK
朝食 $4.75 $5.55 $6.60 $9.00
\ 551 \ 644 \ 766 \ 1,044
昼食 $7.35 $8.15 $9.25 $15.00
\ 853 \ 945 1,073 \ 1,740
夕食 $9.45 $10.25 $11.35 $18.00
\ 1,096 \ 1,189 ¥ 1,317 \ 2,088

【視察した施設】 Dining commons

①店舗基礎情報

■業態:All You Care To Eat.
■営業時間:7:30-27:00(午前 3 時!)
平日(朝食)7:30-10:30、(昼食)11:00-16:30、(夕食)17:00-21:00、(深夜営業)21:30-2:30土日(ブランチ)9:30-14:30、(夕食)17:00-21:00
■席数:400 席
■1 日利用者:1,300~2,000 人
■スタッフ体制:フルタイムシェフ 15~20 名、フルタイムパート 20 人'フルタイムパートは全員が労働組合に加入。学生アルバイト雇用なし。

②店舗特徴

1 階がガラス張りでオープンなセントラルキッチン。2階がダイニング。エントランスからライブキッチンで中の作業が見えるようになっているため、自らの作業への自信(特に衛生レベルに自信)がうかがえます。従業員への緊張感の喚起の効果もあると思われます。作業はほぼスチームコンベクションオーブンです。
2階ダイニングはパフォーマンスを施設特徴として打ち出しており、ピザ釜やグリドルなど「魅せる」キッチンの構造となっています。
キッチンやカウンターは大理石を基調としており、内装が豪華です。喫食スペースは木調となっており温かさを感じます。

③商品特徴

アスリート食の対応を行っており、毎日のアスリート食について管理栄養士がプランニングし写真撮影しています。メニューデータをアスリート食対象者(またはグループ)に発信しています。
ローカル食材である野菜や魚は契約農場から前払いの年間買付を行っています。サーモン5,000ポンド、チキン 9,000 ポンド、grass-fed beef など。
これらの情報は、デジタルサイネージで食材の品質、安全性、こだわりとして表示しています。

リアルフード比率は 80%におよび、オーガニックフードに徹底的にこだわっており、味付けは素材の味を強調し、余計な味付けをしない、油脂分は可能な限り排除しています。このため、ベジタリアン、ビーガンにも対応しているメニューの構成比率は高いです。

④グルテンフリー(GF)コーナー

ユーザー自身が自らの食事に必要な食材を購入し、ダイニング内の GF コーナーで管理し、必要なときに調理を行います。GF 専用コーナーのため、冷蔵庫・電子レンジ・オーブン・シェルフはいずれも鍵つきとなっています。
ユーザー自身がコーナーを利用するためには特別教育でトレーニングを受ける必要があり、教育を受けないと鍵を保持できません。店舗スタッフもトレーニング受けて作業にあたるという徹底をしています。